「サザエさんをさがして」に、
ビンビールから缶ビールへの変化がとりあげられている。
記事のかきだし
作家・村上春樹さんのデビュー作「風の歌を聴け」の主人公は、ビールばかり飲んでいる。にひかれ、ついよんでしまったけど、
マクラにつかわれているだけで、
もちろんサザエさんと村上さんとの接点はない。
しめくくりに『風の歌を聴け』のなかにでてくる
自販機で缶ビールをかう場面をとりあげ、
「さすが村上さん、最新の風俗を取り入れている」
と、また村上さんが顔をだす。
それはちがうだろうと、つっこみたくなった。
はなしをもとにもどすと、
たしかにむかしはビールといえばビンだったのに、
いまではほとんどが缶ビールだ。
2015年の調査によると、ビンは9%なのにたいし、
缶ビールが72%と 圧倒しているらしい。
気づかないうちに、なにかが決定的にかわったのだ。
わたしも、90年代のはじめごろは、
中ビンをケースでかっていた。
缶ビールへとかえた はっきりした理由はおぼえてない。
あんがい村上さんの影響かもしれない。
記事によると、缶ビールへかわった理由として、
・80年台からの規制緩和でビールは酒屋だけのものではなく、
スーパーやコンビニで1本1本かえるようになった
・核家族化がすすみ、ビンのケースはおおすぎた
・アサヒスーパードライのように、
女性にものみやすいビールがでてきて、手がるな缶がこのまれた
・自動販売機の普及
をあげている。
とはいえ、どれも決定的な理由とはおもえない。
時代のながれというやつだったのだろうか。
こんどは公衆電話について。
椎名誠さんと目黒考二さんの対談に、
公衆電話がコイン式からカード式にかわったはなしがでていた。
http://www.shiina-tabi-bungakukan.com/bungakukan/archives/10374
こちらのほうは、もっともな理由なので 納得できる。
コイン式だと1台ずつ公衆電話のコインを回収しなければならず、
膨大な手間がかかるのにたいし、
カードだと、その手間がまったくいらなくなる。
しかもカードはさきばらいなので、
NTTにとったらいいことずくめだ。
でも、公衆電話はたしか10円玉とテレフォンカードの
どちらかをえらんでつかえるようになっていた。
カード式にきりかえても、
コインの回収が必要だったのではないだろうか。
このごろすっかり公衆電話をつかわなくなったので
テレフォンカード専用がおおいのかどうか よくしらない。
携帯電話の普及により、公衆電話は激減するわけだから、
NTTは、天国と地獄の両方を、
わずかな間にあじわったのかもしれない。
変化へのきっかけがあきらかだとおもえるものに、
駅のゴミ箱がへったからスポーツ紙がよまれなくなった、
というのがある。
(「作家の読者道」本城雅人氏)
http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi172_honjo/20160518_3.html
スポーツ新聞の記者をしていた本城雅人氏が、
サリン事件の影響により、
駅からごみ箱がなくなったおかげで、スポーツ新聞が一気に売れなくなったんです。今はゴミ箱もまた見かけますが、一時期はまったくなくなった。特に駅で買うスポーツ新聞は家には持って帰りにくいページもあるので、買われなくなったんです。とはなしている。
こんなふうに、ある変化がひきがねとなり、
まったくよきせぬ結果をうみだすと感心してしまう。
ゴミ箱がなくなっただけが理由ではなく、
「スポーツ新聞には家に持って帰りにくいページがある」
と、新聞の内容がからんでいる。
オウム教もスポーツ新聞の編集部も、
ゴミ箱と購買数の関係まで、みとおしていなかったのではないか。
ビンビールから缶ビールへのうつりかわりは、
ゴミ箱とスポーツ紙の関係ほど
現象と起因がはっきりしていない。
いくつも理由があげられるけど、
どれだけあたっているかは わからない。
はっきりしなくても、なしくずし的にかわっていくときは、
理由がわからないだけに、
ながれをとめられないのかもしれない。
ひとのこのみは 理屈ではないからおそろしい。
トランプ氏へのながれが なんとなくあたまにうかんだ。
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