世界一のソムリエをきめる大会で、
58人が参加して ワインに関する知識とサービスをきそう。
ワインの産地をあてたり、
そのワインにすすめる料理とその理由は?などの難問にいどんでいた。
ワインによって微妙にちがう 味とかおりをかぎわけるのだから、
これまでにものすごい量のワインを のんできたのだろう。
繊細な舌と鼻、それに膨大なデーターを記憶する
特別な才能をもったひとたちだ。
スマートにワインをあつかう姿がかっこよかった。
とはいえ、わたしには縁のない世界なのもたしかだ。
コンクールなのだから、そうやって順位をきめていくわけだけど、
すべてがどうでもよくなりつつあるわたしには、
なんだか冗談みたいな大会だった。
お客さんが気もちよく食事とワインをたのしむのに、
そんな曲芸みたいな能力が、ほんとうに必要なのか
不思議におもえる。
そんなわたしも、わかいころは、
なにかの記念日といえばワインをかった。
20年まえだと、あるていどお金をかけなければ
(といってもわたしの場合は3000円以下)、
ものすごいワインにあたってしまうおそれがあった。
保管がわるくて味がかわってしまったのだろう、
ひとくちのみこむたびに、顔をしかめないとのめない。
それが いまでは1000円もだすと、
じゅうぶんおいしいワインがのめるからありがたい。
3リットルいりの箱ワインや、
コルクすらついてない スクリューキャップの安ワインでも
それなりにおいしくのめたりするから、
わたしの舌は ソムリエコンクールと対極な役割しかはたさない。
すこし自慢めいたはなしをすると、
年のせいか、ワインをあけるのはだんだんうまくなった。
スクリューのさきをコルクにさしたときに
垂直にたてるのがちょっとしたコツなので、
コルクをぬくのがうまくいかないひとはためしてほしい。
まえはなかなかスマートにできず、コルクがちぎれたり、
コルクのかけらばビンにのこったりがあたりまえだった。
スクリューをねじこむのではなく、
ビンのほうをまわすと失敗しない、とどこかできき、
やってみたけどたいしてうまくいかなかった。
それに、ビンをまわすのは かなりかっこわるい。
映画『ポンヌフの恋人』に、
「ほんとうの のみかたをおしえてやる」といって
いかにも安ワインといったかんじの
ばかでかいプラスチック製ワインボトルを
(5リットルぐらいはいりそう)くちにくわえ、
グビグビとながしこむ場面があった。
ソムリエのお世話になるワインがあるいっぽうで、
そんなふうに、ただたくさんのめばいいというのも
またひとつのワインとのつきあい方だ。
わたしがやすいワインばかりもとめるのも、
『ポンヌフの恋人』の影響かもしれない。
もっとも、アルコールによわいわたしは、
グビグビなんてとてもできないので、
安ワインをチビチビという、
かなり残念なワインずきにそだってしまった。
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