2016年06月27日

穴あけパンチの底

穴あけパンチの底には、穴をあけたときに
きりとった紙のきれはしをためるカバーがついている。
あるとき、穴あけパンチからはずされたカバーが
机のうえにおいてあったら
(なんでカバーだけをとりはずしたままにしたのかは不明)、
どーでもいいペラペラのじゃまものにみえたそうで、
そうじをしてた職員がすててしまった。
まだ断捨離ということばが
一般的でなかったころのはなしだ。
身がるになろうと おもいきってすてた、というよりも、
いかにも余分な部品にみえたので、
これはなんだろうとためらいつつも
ゴミ箱にいれたのではないか。

わたしには、すてたひとの気もちがよくわかる。
こういう「うっかり」がわたしはだいすきだ。
穴あけパンチの底につかわれているのを しらなければ、
あのカバーは、たしかに意味不明で、
やくにたつはずのない 部品としかおもえない。

すてたひとの気もちがわかるとはいえ、
なくなってみると、パンチの底に
あのカバーがないと ものすごく不便だった。
紙に穴をあけるたびに きれはしがふたつ、確実にはじきだされる。
もうそんなパンチなんて つかいたくないけど、
穴をあけるには パンチがなければ どうにもならない。

やくにたちそうにないパンチの底が、
いざなくなると しんじられないくらいこまる。
まるで、たいして存在感がないのに、
じつはいい仕事をしている職員みたいだ、では
もっともらしくておもしろくない。
ここは豊富な経験をつんだおとなとして、
パンチの底は、やくにたたないようにみえるとおり、
ほんとうにどうでもいい部分だったよ、
と おとしてみたい。
部品のなかには、仕事をしていない部品もある、
という世界のほうがたのしいから。

しばらくかんがえてみたけど、いい案がうかばない。
残念ながら 穴あけパンチの底は、みかけとちがって
ほんとうにいい仕事をしているみたいだ。
穴あけパンチのカバーみたいなひと、とだれかにいわれても、
けして腹をたててはいけない。

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posted by カルピス at 22:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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