「400号記念なんでもベスト10!」。
なんのことかとおもったら、
ほんとに、とにかくなんでもベスト10にしたててある。
・書店ベスト10
・図書館10傑
・古本屋ベスト10
・雑誌編集長ベスト10
などはあたりまえとして、
目黒考二さんによる
・椎名誠のベスト10
は、いかにも「本の雑誌」らしい。
椎名さんの本についてのベスト10ではなく、
・平気で日にちを間違える
・カツ丼を勝手に頼む
など、椎名誠個人についてのベスト10だ。
400号をだせたおいわいに、
いろいろなベスト10をかんがえてみるのは
おまつりらしくていい企画だ。
わたしも便乗してベスト10をあげてみる。
まえに村上春樹さんの10冊をとりあげたことがあるので、
今回は 梅棹忠夫さんのベスト10をえらんでみたい。
・『モゴール族探検記』
・『東南アジア紀行』
・『わたしの生きがい論』
・『カイバル峠からカルカッタまで』
・『文明の生態史観』
・『情報の文明学』
・『日本語の将来』
・『知的生産の技術』
・『女と文明』(妻無用論)
・『夜はまだあけぬか』
・『モゴール族探検記』
アフガニスタンの奥地にモゴール族をさがしにいく探検記。
なにもわからないところにでかけ、
現地の状況をみながら 方針をきめていく。
探検のおもしろさがつまっている本。
・『東南アジア紀行』
1957年に 日本からジープ3台をもちこんで、
タイ・カンボジア・ベトナム・ラオスをまわった旅行記。
移動のためにだけではなく、
研究の拠点として本格的に自動車をつかっている。
・『わたしの生きがい論』
この本により、人生に目的はないとしらされた。
がんばってはいけない、
役にたたないほうがいい、など、
進歩をうたがう発言が刺激的だ。
・『カイバル峠からカルカッタまで』
これだけは1冊の本ではなく、
著作集第4巻「中洋の国ぐに」におさめられている。
「モゴール族探検」のあと 梅棹さんは、
しりあいの人類学者と、フォルクスワーゲンにのって
カイバル峠からカルカッタへ
おもいがけない自動車旅行にでかけた。
ガタゴトの道でも、夜くらくなっても、
ひざにのせたタイプライターで
記録をとりつづけたはなしが よくしられている。
スピード感にあふれ、自分もいっしょに
旅行しているような気になってくる。
・『文明の生態史観』
地理的・生態的な必然により、
日本とヨーロッパは
ユーラシア大陸のはじっこで
平行に進化した。
・『情報の文明学』
この本のおかげで 情報とはなにかを、
わたしはわりあい正確に理解しているつもり。
・『日本語の将来』
漢字のもつ問題点と、
ローマ字でかく日本語の可能性。
・『知的生産の技術』
この本をよみ、わたしは京大型カードを
3000枚印刷屋さんに注文した。
・『女と文明』(妻無用論)
ひとりの人間としてみたときに、
「妻」という立場はおかしくないか。
「妻であることをやめよ」。
女性をおとしてめているのではなく、
男なんかにつくさなくても、
自分の人生を生きたようがいい、という本なのに、
女性から ものすごい反発をうけたそうだ。
妻の座にしがみつきたい女性が
なぜそんなにおおいのか よくわからない。
・『夜はまだあけぬか』
65歳で視力のほとんどをうしなった梅棹さんが
そのご どのように研究と執筆をつづけたか。
わたしにとっての梅棹さんは、
民族学研究者であるとともに 思想家でもある。
世界をひろくあるいた経験と観察から、
歴史的な必然による 方向性をしめしてくれる。
目的からの離脱や ローマ字による日本語表記は、
そうした観察からみちびきだされている。
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