2016年09月19日

あけたドアを自分でしめるネコ

『1Q84』のなかに、窓をあけてそとにでると、
自分でまたその窓をしめる かしこいネコがでてくる。
まえの日に ある仕事をおえた青豆は、
その成果がすでに発見されているかどうかを確認するために、
11時のニュース番組をみる(第1巻P120)。
アメリカが日本に金融市場開放の要求をつきつけていた。モルガン・スタンレーやメリル・リンチが政府をたきつきて、新たな金儲け口を探している。島根県にいる賢い猫が紹介された。ネコは自分で窓をあけて外に出て行くのだが、出たあと自分で窓を閉めた。飼い主がそうするように教え込んだのだ。

金融市場開放のニュースなどにならんで
島根のネコが紹介されるなんて、
いくら自分で窓をしめるとはいえ ほんとうかなとおもう。
そもそもネコが窓をしめること事態にひっかかる。
一連のニュースのひとつとして、なぜ村上さんが
島根のネコのはなしをつくりだしたのか不思議だ。
そんなネコがいるわけないのに。
とおもっていたら、
伊藤理佐さんの『女いっぴき猫ふたり』に
ドアをしめるネコがでてきた。

伊藤さんの家にはクロとニャコという2匹のネコがいて、
ある日伊藤さんは彼らに「ねこ禁止令」をつげる。
毛だらけになるから 寝室にはいっちゃダメ!と
いいきかせてねたら、
クロがフツーにはいってきた。
伊藤さんは「はい、いけませんよ」とクロをつれだす。
それをみていたニャコは、
「ごくフツーに入ってきたあと
 うしろ手にドアを閉めました」
そうまでしてわたしといっしょにねたいのかと
感激した伊藤さんは
「今日だけだからな」と
ネコたちをベッドにあげる。
クロとニャコは伊藤さんにしがみつき、
ゴロゴロとノドをならす。
いいはなしだ。
伊藤さんは身がってに「禁止令」を発令し、
ネコたちはぜんぜんうことをきかない。
でも伊藤さんはネコたちのかわいさにまけて
けっきょくいつものようにいっしょにねむる。

伊藤さんがネタにするぐらいだから、
ほんとにドアをしめるネコがいるのだろう。
ネコにスリスリされ、満足げなゴロゴロをきくのは
ネコとくらすしあわせのひとつだ。
なかまのネコのうごきからすぐに学習し、
自分の目的をはたそうとするのは
いかにもネコ的ないちずさがあらわれている。
ネコにしてみたら、伊藤さんがすきでたまらないというよりも、
いつもの習慣をまもりたいからにすぎない。
人間は、自分への愛だとかんちがいする。
そこらへんのズレがまたすごくかわいい。

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posted by カルピス at 21:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ネコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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