2016年10月15日

「ハーモニカがスティービー・ワンダーより下手だから?」もいいとおもうけど

けさの天声人語(朝日新聞のコラム)に、
村上春樹さんの『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』
からの引用がのっていた。
ボブ=ディラン氏について
「まるで小さな子が窓に立って雨ふりをじっと見つめているような声なんです」

とわかい女性がはなす。

状況をもうすこしくわしく説明すると、
「私」がレンタカー店で
カリーナ1800GT・ツインカムターボをかりたとき、
車のデッキにボブ=ディランのカセットテープをいれ、
『ウォッチング・ザ・リヴァー・フロー』をききながら
パネルのスイッチを確認していた。
車をかりる手つづきで
「私」に対応してくれたレンタカー店の女性が
「何かお困りのことがございますか」とはなしかけてくる。
それをきっかけにふたりがおしゃべりをするなかで、
「これボブ・ディランでしょ?」
「そう」と私は言った。ボブ・ディランは『ポジティヴ・フォース・ストリート』を唄っていた。二十年経っても良い唄というのは良い唄なのだ。
「ボブ・ディランってすこし聴くとすぐにわかるんです」と彼女は言った。

そのあとで、天声人語氏がとりあげた
「まるで小さな子が窓に立って・・・」と
レンタカー店の女性がいうのだけど、
そのまえに「私」は
「ハーモニカがスティービー・ワンダーより下手だから?」と
冗談をいっている。
ここの部分を引用せず、「まるで小さな子が窓に立って・・・」
にしたところがいかにも朝日新聞であり、天声人語氏だ。

『世界の終わり・・』がかかれた当時すでに、
「でも君みたいに若い女の子がボブ・ディランを聴くなんて珍しいね」
という存在だったボブ=ディラン氏が、
今回のノーベル賞で注目をあつめている。
小説がかかれた1985年から30年すぎたいま、
村上春樹さんとボブ=ディラン氏が
いっしょに話題となる日がくるとは。

小説のおわりに、もういちどボブ=ディラン氏の名前がでてくる。
「ボブ・ディランって何?」とたずねられたときに、
「雨の日にー」と私は言いかけたが説明するのが面倒になってやめた。「かすれた声の歌手だよ」

『世界の終わりとハードボイルド・・・』は
村上さんの作品のなかで、わたしがいちばんすきな小説だ。

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posted by カルピス at 17:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 村上春樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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