椎名さんがかいてきた本について、
目黒さんがはなしをきくコンテンツがある。
1979年にだされた『さらば国分寺書店のオババ』にはじまって、
2016年7月の『ケレスの龍』まで、
椎名さんの膨大な著書を
目黒さんがもういちどよみかえしたのち、
椎名さん本人からはなしをききだしている。
そのまとめというか、番外編として、
「椎名誠のベスト10」を、まず目黒さんが、
そして次回は椎名さんがえらんでいく。
http://www.shiina-tabi-bungakukan.com/bungakukan/archives/11977
目黒さんは、たとえばSFは『アド・バード』、
青春記は『新橋烏森口青春編』に代表させたりと、
おなじようなジャンルの本がかさならないよう、
バランスに気をくばって10冊をえらんでいる。
とはいえ、たとえば『絵本たんけん隊』は、わたしもよんだけど、
それほどの本とはおもえないのに 目黒さんは絶賛している。
わたしのこのみとは かなりちがった10冊になっており、
どうせならと、わたしも便乗して
椎名さんのベスト10をえらんでみた。
1『わしらは怪しい探検隊』
2『もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵』
3『シベリア追跡』
4『本の雑誌血風録』
5『パタゴニア』
6『哀愁の町に霧が降るのだ』
7『さらば国分寺書店のオババ』
8『麦の道』
9『砂の海』楼蘭・タクラマカン砂漠探検記
10『風にころがる映画もあった』
1『わしらは怪しい探検隊』
昭和軽薄体とよばれる椎名さんならではの文体が
ページのあちこちを自由自在にとびまわる。
子どものころ探検家にあこがれながら
気がつけば つまらないおとなになってしまったわたしだけど、
おとなになっても まだこうやってあそんでるひとがいる、
文章はこんなに自由でもいいんだと、
おどろきの椎名さん本とのであいだった。
2『もだえ苦しむ活字中毒者地獄の味噌蔵』
初期の「本の雑誌」にのせられた記事があつめられている。
権威的なものにむかって、つまらないものは
はっきりつまらないとかく姿勢がすばらしい。
わかいころの椎名さんのするどい観察力と、
だめなものはだめといいきる ただしい批判精神がすきだ。
3『シベリア追跡』
旧ソビエト時代に、マイナス57℃のシベリアをおとずれ
町のようすやひとびとのくらしを紹介している。
その時代の旧ソビエトを取材するのが
どれだけたいへんだったか、
マイナス57℃のさむさとは、など
格闘技できたえ、あやしい探検隊であそんできた
椎名さんならではの取材力がひかる。
5『パタゴニア』
南米のさきっぽにあるパタゴニアをたずねる。
日本にのこる奥さんが精神的に心配な症状をしめしており、
でも椎名さんは日本ととおくはなれたチリにいて、
かんたんには連絡がとれない。
パタゴニアの自然におどろきながらも、
奥さんを心配しながらのつらい時間をすごす。
6『哀愁の町に霧が降るのだ』
わかいころは、これぐらいおろかで
まずしくて テキトーくらいがちょうどいいのだと、
ただしい青春のすごし方を再確認できる。
7『さらば国分寺書店のオババ』
椎名誠の実質的なデビュー作として、
この本をあげないわけにはいかないだろう。
8『麦の道』
椎名誠の高校時代をえがいた自伝的な小説。
以前わたしはブログにこの本をとりあげており、
そこからかきだしてみると、
おもいっきりこの小説を簡略化すると、
けんか
柔道
けんか
けんか
女子高生
けんか
柔道
けんか
けんか
柔道
女子高生
けんか
というかんじで、
けんかのあいまに柔道部での練習や試合、
ときたまあこがれの女子高生についてかたられる。
けんかにあけくれていたという椎名誠が
じっさいに体験したことをかいているので、
けんかのシーンはなまなましい迫力がある。
9『砂の海』楼蘭・タクラマカン砂漠探検記
楼蘭探検へ、ルポライター枠で参加した椎名さんの記録。
むかしからあこがれてきた地域への探検であり、
体力的なアドバンテージをいかして
ジワジワと目的地へせまっていく。
10『風にころがる映画もあった』
椎名さんの映画ずきが、
いちばん素直に文章化されている。
子どものころからカメラや映写機がすきで、
その興味関心をひきずったまま
おおきくなったのが椎名誠だ。
やがて映画監督にもなる椎名誠の原点は、
子どものころの映写機あそびにみいだせる。
次回に椎名さん本人がえらぶ「椎名誠のベスト10」は、
どんな10冊になるのだろう。
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