2016年12月24日

『ブルース・ブラザース』サイコーにごきげんな映画

『ブルース・ブラザース』
(ジョン=ランディス:監督・1980年・アメリカ)

兄が刑務所を3年で仮出所となった。
はらいさげのポンコツパトカーにのって弟がむかえにくる。
ふたりとも、帽子からスーツまですべて黒ずくめで
むかしながらのブルースミュージシャンでありつづけている。
ふたりが世話になった養護施設にかおをだすと、
5000ドルの固定資産税をはらわなければ つぶされるはなしをきく。
ふたりはバンドを再結成してコンサートをひらき、
税金分の5000ドルをかせごうとする。
シンプルなストーリーで、たいした事件はおこらないのに、
ロックンロールにのせて
2時間半をごきげんにひっぱってくれた。

アメリカ映画のカーチェイスというと、
やたらとパトカーがこわれるけれど、
この作品は桁がちがう。
あんなにたくさんのパトカーがでてきて、
あんなにたくさんこわれる映画は はじめてみた。
ショッピングモールにつっこむ場面では、
パトカーはブルドーザーかとおもうくらい、
まえにあるすべてのものを きれいになぎたおしていく。
でかいだけでのろまなアメ車が、
気のきかない警察にぴったりだ。
ホテルからの逃亡シーンでは、
ふたりののった車を100台以上のパトカーがおいかける。
パトカーは、まるで紙の箱みたいに、
かんたんにつぶれていく。
工事中の道路からはみだしてしまい、
車にのったまま たかいところからおちる場面では、
空中でなすすべもなく助手席にすわる部下が
ボスにむかってポツリと
「まえからすきでした」。
すごくおかしい。

カーチェイスだけでなく、はでな爆発もたくさんある。
ガレキの山にうもれても、電話ボックスごとふきとばされても、
よろよろとおきあがり、服についたほこりをおとすだけ。
あれだけたくさんの爆発とカークラッシュがありながら、
けっきょくだれも死なないしケガさえしない。
まるでトムとジェリーの世界だ。

ラストシーンでは、パトカーだけでは気がすまず、
騎馬隊・ヘリコプター・消防隊・特殊部隊、軍隊に
戦車までを総動員してふたりをおいかける。
凶悪犯じゃないのだから、ここまでくると完全におふざけだ。
ふたりをおいかける警察のほうが暴徒となっている。
あんなにたくさんの政府関係者をわずらわせたら、
いくらひとをキズつけてなくても
つかまったとき どれだけしかられるのだろう。
懲役200年ぐらいになるのではないか。
なにかといえば「神の使命をおびている」をくちにして、
ふたりにはこわいものがない。
『紅の豚』のポルコがかっこいいのとおなじ意味で、
あのふたりは きっちり粋をつらぬいている。

エンディングは、刑務所にいれられたふたりが、
即席のステージで『監獄ロック』をうたいまくる。
最高にごきげんな映画だ。
出演してるのが豪華なミュージシャンなのに、
自己主張せず、あそびごころいっぱいで 脇役をたのしんでいる。
息のぴったりあった作品にしあがったのは、ひとつの奇跡だ。

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posted by カルピス at 09:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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