2017年01月15日

津村記久子さんによる『ディス・イズ・ザ・デイ』の連載がはじまった

津村記久子さんによる『ディス・イズ・ザ・デイ』が
先週の日曜日から朝日新聞ではじまった。
前任者の綿矢りさ さんとおなじように、
1ページ全部をつかって日曜日にだけのせられる。
サッカーのサポーターをえがいた作品のようで、
連載1回めには、J2リーグに所属するチームの概況が説明された。
サッカーがすきなわたしは 興味ぶかくよめるけど、
「順位は5位の昇格プレーオフ圏内を确保しており」
なんて状況説明を、サッカーに関心のないひとがよんだとき
すんなりついてきてくれるか 気になった。
新聞の連載小説は、はじめの数回が勝負のような気がする。
どうやって読者の関心をつなぎとめるか、
作者としてはむつかしいところだろう。

朝日新聞のもうひとつの連載小説は、
金原ひとみさんの後釜として、
吉田修一さんの『国宝』が元旦からはじまっている。
歌舞伎界が舞台なのだそうで、
時代小説がにが手なわたしは、
歌舞伎もなんとなく時代小説っぽい気がして、
初回をスルーしてしまった。
そのあとの回もよんでいないので、もうはなしについていけない。
吉田修一さんがまえに『悪人』を連載したときは、
おわりごろになって ときどき目をとおしたていどで、
よい読者ではなかった。
わたしは吉田修一さんの作品と相性がわるいのか、
なんとなく気もちがつづかない。

朝日新聞では、夏目漱石の『吾輩は猫である』も連載ちゅうだ。
いつでも本をよめるとおもうからか、
ごくかんたんに目をとおすだけなので、
ぜんたいのながれが わからなくなってしまった。
おもしろそうなときだけ あとからよみかえしている。
この小説は、けっこう退屈な描写がつづくときがあるし、
そうかとおもえば 夏目漱石ならではのユーモアに感心することもあり、
すっかりよむのをやめるのは もったいないので
ダラダラとへんなつきあい方になってしまった。

連載小説は、はじめの数回が勝負、というのは
かならずしも絶対ではない。
新聞にのるのだから、よまれるチャンスは毎日あるわけで、
かきだしできまるのは、連載小説よりも むしろ単行本かもしれない。
よくしっている作家がかいた本ならともかくとして、
はじめて手にとる作家の本は、
そんなに忍耐づよくつきあったりしない。
はじめがおもしろくなければ それでおわる。
そして、いくらかきだしに気をくばっても、
なかみがとぼしければ すぐ読者ははなれてしまうからおそろしい。
スタートで読者をひきつけるのに成功しながら
まんなかへんでにげられては、かなり残念だろう。
気まぐれな読者によんでいただくのは たいへんだ。

『ディス・イズ・ザ・デイ』の2回めまでをよむかぎり、
じわじわと おもしろくなりそうな気配がする。
サッカーファンとして、あたらしくはじまった津村さんの連載が、
たくさんのひとによまれるようねがっている。

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posted by カルピス at 18:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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