〜ニッポンアニメ100年史〜」をみる。
日本でアニメーションがはじめてつくられてから、
ことしで100年になるらしい。
これまでに、なんどかアニメブームがおこり、
いま アニメは、いちぶのファンだけのものではなく、
『君の名は。』のように、だれもがふつうにみている。
東映動画が ディズニーアニメのような作品を 日本でもつくろうとし、
手塚治虫が「鉄腕アトム」で
週1回のテレビ放映をアニメ界にもちこみ、
マジンガーZが巨大ロボットアニメをきりひらき、というふうに、
これまでにいくつもの さきがけとなる作品がうまれ、
あらたな転換期をむかえてきた。
わたしも「オタク」とまではいかなくても、
ずいぶん熱中してアニメをみたものだ。
もっとも、むかしは「アニメ」なんていわなかった。
ただたんに「マンガ」、よくて「マンガ映画」か。
おさないころは「鉄腕アトム」・「鉄人28号」・
「ハクション大魔王」「マッハゴーゴーゴー」・「魔法使いサリー」、
いまならたかが野球だろうときりすてそうな
「巨人の星」にも あたりまえに熱中した。
子どもながらに画期的だとかんじたのが『ルパン三世』で、
深刻がらずにかるがると生きるルパンたちに
ずいぶんいかれたものだ。
そして、18歳のときにみた『未来少年コナン』に、
決定的な影響をうけた(ような気がする)。
番組では、なんにんものクリエーターが
アニメとのであいやおもいでをかたっている。
「宇宙戦艦ヤマト」がみじかい時間ながれると、
波動砲をうつとき 乗組員たちがつけるゴーグルが
やけにチャチなのを発見した。
「宇宙戦艦ヤマト」といえば、
第二次世界大戦のときにつくられたふるい戦艦を修繕し、
14万8千光年のかなたまで旅だたせようという計画なのに、
さいごのきりふだ的な波動砲をうつ準備にはいると、
きゅうに時代をさかのぼって 太平洋戦争でつかっていたような
ふるめかしいゴーグルですべての乗組員が目をまもる。
もちろん強力な波動砲の光線をあび、目をいためてはならないので、
とうぜんの用心なのだけど、
科学の粋をあつめた宇宙戦艦ヤマトにおいて、
あのようなゴーグルがつかわれていたのがすごく新鮮だった。
作品がつくられた当時は、
そのチープさを だれもがよしとしたのだ。
用をはたせばそれでいいという、究極の合理主義なのかもしれない。
重箱の隅をつついているのではなく、
だれもが納得して あのちゃちなゴーグルを登場させたのがおもしろい。
もうひとつ、つよく共感したのが、
出崎統作品の最高傑作は、映画版の『エースをねらえ!』だと
庵野秀明さんがはなしていたこと。
ほかの出演者も、この作品をたかく評価していた。
TV版ではなく、映画版というのが、この作品においては重要だ。
わたしの記憶では、なんどか◯◯ロードショーで放映されたものの、
そのあとはまったくみかけなくなっている。
1979年と、つくられたのは『カリオストロの城』とおなじ年なのに、
そのあとのあつかいは ずいぶん差をつけられてしまった。
青春映画の傑作である映画版『エースをねらえ!』に
ふたたび光をあてたところが、
「アニメ100年史」ならではの功績といえる。
残念ながら、わたしがすきなフラッシュアニメ、
『秘密結社 鷹の爪』については なにもふれられなかった。
『エヴァンゲリオン』と『君の名は。』のあいだに
『秘密結社 鷹の爪』をおくと、
日本のアニメーションが どこへむかおうとしているかについて、
理解がうんとたやすくなるのでは。
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