2017年01月31日

異文化コミュニケーションの達人

出雲市から松江にもどるときに、私鉄の一畑電車にのろうと
駅の待合室でつぎの電車をまっていた。
ローカル電車なので、1時間に1本くらいしかはしっていない。
もうすぐでつぎの電車が出発するというギリギリのとき、
ひとりの外国人女性が待合室にあらわれた。
どうしたらいいのかわからず こまっているようすだ。
駅の職員さんが、ためらいなくはなしかけた。
「出雲大社?OK、大丈夫」と安心させ、
券売機までつれていく。
その女性は、機械のあつかいがわからないまま
テキトーにボタンをおすと、
「まずお金をいれてね」と
駅員さんはお金をいれる場所と、
いきさきのボタンを手ぶりでおしえる。
出雲大社へは、とちゅうの駅で、いちどのりかえる必要があり、
「川跡でチェンジだよ」と
なんどか念をおして 女性を改札へおくりだした。
女性は安心しきって駅員さんの指示をうけいれ、
かるい足どりで階段をのぼっていく。

駅員さんは60代くらいの男性で、
英語は はなせないようだけど、
すこしもためらわず まよっている女性にはなしかけた。
英文をこねくりまわすうちに、頭のなかがまっしろになり、
けっきょく しらん顔をきめこむ、
という日本人的な対応ではなく、
こまっているひとをほっておけない
親切な田舎のおじさん的な態度だった。
駅員さんなのだから、仕事としてあたりまえ、
というのはかんたんだけど、
みていてとてもいい気もちになる。
英語っぽいのは「OK」と「チェンジ」だけなのに、
ちゃんと女性にいいたいことがつたわっており、
これぞコミュニケーションだとおもった。

やさしい日本語の研修会が出雲市でひらかれたと
朝日新聞の地方版にのっていた。
外国にはなしかけるのだからといって、
英語や中国語で説明するのではなく、
外国人にもつたわりやすい日本語をかんがえよう、
というこころみだ。
阪神大震災のとき、「たきだし」や「土足厳禁」などの表現では
避難所の外国人につたわりにくかったのがきっかけだという。
日本にいる外国人がこまらないよう、
それぞれのことばで対応しようとすると、
たくさんの外国語をつかわなくてはならない。
日本語でつたえようとすれば、日本語だけでたりるので、
この方針にわたしも賛成だ。

一畑電車の駅員さんがつかったのは、
「やさしい日本語」と、相手を安心させようとするこころづかいだ。
とにかく、まよわず声をかけたのがよかった。
こまっているのは相手なのだから、
こちらがはなすことばを なんとかしてききとろうとする。
英語でなくても、つたえようとするこちらの態度に相手は安心するし、
ジェスチャーをまじえたらもっとわかりやすくなる。
日本語がよくわからないお客さんへの対応として、
駅員さんの堂々とした仕事ぶりに すっかり感心した。

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posted by カルピス at 21:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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