中国のトラック業界をとりあげていた。
国内に高速道路網がはりめぐらされてから、
中国の物流は、いまや完全にトラックが主役になっている。
番組は、中国でいちばんおおきな貨物トラック集積場である
「成都公路港」をひとつの典型的な例として、
中国トラック業界の「いま」を紹介している。
トラックがあれば とりあえず仕事につけるので、
いまや中国全土で3000万人が
トラックド運転手としてはたらいているという。
成都には、いちにちに1万人の運転手が
仕事をもとめてあつまってくる。
彼らのおおくが個人経営の事業者だ。
これからは、おおきな運送会社が
スマートに物流をしきっていくのだろうが、
いまはまだおおくの個人事業者が 仕事をうけおっている。
すこしでもいい値段で荷物をはこぼうと、
集積所は個人のトラック事業者や仲介業者でごったがえしている。
彼らのおおくは、はげしい価格競争にさらされ、
満足に仕事にありつけない日もある。
トラック運輸の仕事は、以前ほど
もうかる仕事では なくなっている。
「成都公路港」から、3台のトラックが出発する。
1台は、運送の仕事をはじめてまだ3ヶ月の男性とその家族。
1台は、父親と、ふたりのむすこによるチーム。
もう1台は、トラック運転手歴25年のベテランと、
その相棒によるコンビ。
いきさきは1000キロ以上はなれている場合がおおい。
取材班は3台のトラックにカメラをもちこみ、
ドライバーたちの仕事ぶりが紹介される。
経験のあるドライバーが いい仕事にありつきやすいとはいえ、
高速料金や燃料代は、日本とあまりかわらない。
経験のとぼしい男性がうけおった仕事は、
必要経費をさしひくと、赤字になってしまった。
ねる時間をおしんで運転する運転手たち。
ゆっくりからだをのばせないようなくらしをつづけ、
彼らの健康は大丈夫なのだろうか。
トラック運送がもうかる時代には、
月に50万円のうりあげがあり、家をたてたりもできた。
いまはもう、この業界のさきゆきは
そうあかるくはなさそうだ。
お父さんの仕事をつぎたいか、と、
トラック運転手の息子にたずねると、
いかにも一人っ子政策の申し子みたいな
ひよわそうな男の子(中学生くらいか)が、
「ぼくは車酔いするので、トラックにはのりたくないな。
学校にもいかなくちゃならないし」
とこたえていた。IT業界へすすみたいのだという。
過酷な状況のもと、25年もトラック運転手をつとめてきた父親に、
あのような子がそだったのが印象にのこる。
巨大すぎる人口は、なにをするにもコントロールがむつかしい。
国の政策がかわれば おおくのトラック運転手は
仕事にあぶれるだろう。
仕事はおさきまっくらで、家ではグニャグニャしたむすこが
ふやけたことをいう。
トラック業界の変動というよりも、
中国社会の変化をまのあたりにする番組だった。
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