「ぼくもね、そうかなっておもったんですよ」
といった。
恋愛についてはなしているときのことだ。
コロッと自分の発言をひっこめ、
あいてにあゆみよるかるさが とてもいい。
福山さんぐらいでないと、
「ぼくもね、そうかなっておもったんですよ」
なんていえば、調子のいいこというな、って
しかられそうだけど、
福山さんだと ピッタリくる。人徳である。
会話術のひとつに、
いったん相手の発言をうけとめる、というのがある。
いわれたことにすぐ反論しないで、
ひとまず「そうですね」とやってから、
「でも」とか、「そうはいっても」、と自分のかんがえをのべると、
相手はきく耳をもってくれやすい。
福山さんのは、このセオリーをさらにすすめ、
全面的に相手の側へねがえるのだから、
さらに高等戦術といえる。
自分の意見にこだわるようでは、
たいしたはなしはできないのだ。
出勤時間におくれがちな同僚が、
理事長から「もうすこしはやくでてこれませんか」と、
かるく注意をうけていた。
同僚は、
はやく家をでようとすると、イライラした運転になり、
あぶないので、安全運転にこころがけると、
どうしても職場につくのがおくれてしまいます。
どーしたらいいでしょうかねー?
と逆に理事長へ質問をかえしていた。
このひとは、いいわけをしているつもりはなく、
なにごとにおいても 自分がおもっていることを
そのままくちにする。
これもまた人徳であり、理事長も、
事故をおこすよりはいいけど・・・と、
それ以上は追求しなかった。
わたしなどは、できるだけいいわけしないのが基本方針としてあり、
同僚のように自分の状況を説明できない。
すぐにあやまってうやむやにするよりも、
彼のように なぜできないかを まるでひとごとのようにはなせるのも、
ひとつの話術としてありだとおもった。
日本人ばなれしていて、かっこいいともいえる。
福山さんの
「ぼくもね、そうかなっておもったんですよ」もいいけれど、
同僚の ぬけぬけとした説明もまた、味があってわるくない。
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