2017年04月19日

『バー・リバーサイド』(吉村喜彦)〜食と音楽を巡る地球の旅〜の雰囲気をもとめて

『バー・リバーサイド』(吉村喜彦・ハルキ文庫)

吉村喜彦さんが担当していたラジオ番組
「音楽遊覧飛行〜食と音楽を巡る地球の旅〜」
の雰囲気にふれられればとよんでみる。
東京の多摩川ぞいにあるバー「リバーサイド」を舞台に、
人物と酒をえがいた短篇集で、
いちばんさいごの5話では、登場人物が全員あつまって、
ある老人のはなしに耳をかたむける。

「老師」と 仲間からしたわれているこの老人は、
妻をなくしたかなしみから、
かつてふたりで旅をした外国の町をたずねる。
妻は、すきだったツバメにすがたをかえ、
老人をキューバのサンルイスにみちびいたという。
ラム酒のよいに身をまかせるうちに、老人は自分もツバメとなって、
妻といっしょに川のうえをとびまわる体験をする。

この5話が、「食と音楽を巡る地球の旅」の雰囲気にいちばんちかい。
しらない町の風景や、土地の酒をおもいえがかせてくれる。
ラム酒がサトウキビからつくられていること、
おおくのカクテルのベースとしてつかわれていることを、
わたしはしらなかった。
酒がでてくる小説のこまるのは、ついのみすぎてしまうことで、
禁じている2杯めのロック(芋焼酎)を、
しかもついおおめにつくってしまった。

率直にいって、5つのはなしとも、
小説としてとくにすぐれているとはおもわないけど、
ところどころにでてくる 酒のはなしがアクセントとなり、
スラスラよみすすめられる。
わたしにはなじみのバーがなく、
ねるまえにチビチビと酒をすする程度だけど、
「リバーサイド」のような本格的なバーが身ぢかにあって、
したしみやすい雰囲気のなか、
ほんもののカクテルをのませてくれたら、
日常をささえてくれる ささやかなしあわせとなりそうだ。

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posted by カルピス at 08:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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