70歳になったいま、一生 体験しそうにないことが
たくさんのこっているのに気づいた、とかいていた。
人妻とややこしい関係になったり、
なにかをはじめて体験する可能性は、
これからさき きわめてひくい、というはなしだ。
椎名さんが達観をかたりたかったのか、
ジタバタしたいのかは、わすれてしまった。
人妻うんぬんは、椎名さんがたしかに具体的な例としてあげていた。
しっかり記憶にのこっているあたり、
わたしにもおなじような願望があるのかもしれない。
「一生 体験しそうにない」は、
わたしもこのごろ よくあたまをかすめる。
わかいころは、その気になれば
すべてが実現可能だと のんきにかまえていたけど、
55歳となれば、のこされた時間・体力からいって、
初体験は あまりおとずれないだろう。
だからといって、やたらと「はじめて」にこだわるのもへんだ。
中年になってから やりのこしがないように気をつけても もうおそく、
わかいころのすごし方で 勝負はすでについている。
といって、つよい後悔になやむわけではなく、
たいした人生ではなかったけど、それなりにおもしろかったと、
しめくくりをまえに、ぼんやりと総括しているかんじだ。
歳をとると、あんがいかんたんにあきらめがつく。
とはいえ、かんたんに体験できる「はじめて」は、
いまのうちに できるだけあじわっておきたい。
のんだことのないお酒、シングルモルトやテキーラをかったり、
ガールズバンドについていこうとするのは、
さいごをむかえようとするときに、
生物的な本能がはたらくのだろうか。
そんなこといったって、お金もちではないのだから、
ほしいものをぜんぶお金で解決するわけにはいかないけど、
基本的な方針として、体験できるのは いましかないと
自分にいいきかせている。
これからやりたいことを具体的にあげたら、
ずいぶんながいリストになるかとおもっていたのに、
いまのところ
・サンティアゴ巡礼
・スーパーカブでの旅行
のふたつしかおもいつかない。
アジアへの旅行はいつでもいけるので、
リストにあげるまでもないだろう。
ずいぶんささやかな終活になりそうだ。
いまの小市民的日常生活に
わたしはたいして不満をもたず、
あんがいしあわせにくらしているのだろう。
あやしい人妻とのややこしい関係は、
まだ可能性があるような気がする。
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