日本対シリアの試合がくまれた。
Wカップアジア最終予選のイラク戦をひかえ、
中東のチームになれておこうという位置づけだ。
シリアとしても、中国戦が来週おこなわれるので、
日本と試合しておけば いい調整ができるだろう。
試合は1-1のひきわけにおわった。
前半はとくにシリアのよさがめだち、
日本らしい攻撃のかたちができない。
後半のあたまから久保にかわって本田がはいり、
そのあと乾がはいると ようやく日本にリズムがでてくる。
とくに乾のボールさばきは、メッシをおもわせるレベルだ。
解説者が、「セクシー」といってたけど、ほんと そんなかんじ。
しかし、それにしてもシリアである。
2200万人の人口のうち、470万人が
難民生活をおくっている あの、シリアだ。
シリアとの親善試合としりつつ、
あらためて相手がシリアであることにおどろいている。
国内は内戦状態で、国民の2割が難民となり
国からでていくような状態なのに、
サッカーの代表チームを組織し、
選手団を外国へおくりだすなんてすごい。
実況しているアナウンサーが、
ほんのすこしシリアの混乱した国内事情を紹介したけど、
試合内容よりもまず、試合がくまれ、それが実現しただけでも
おどろくべき事態ではないか。
日本が来週の火曜日に本番でたたかうイラクは、
まだ国内で試合ができる状態ではなく、
最終予選は第3国のイランでおこなわれる。
そのイランにしても、せんじつテロがおきたばかりで、
おちついて試合ができるのか気になるところだ。
シリアの選手たちは、国民をちからづけるために
ぜひWカップに出場したいと
試合まえのインタビューでこたえていたという。
わたしはいまでもおぼえている。
2007年のアジアカップで、優勝したのはイラクだった。
オシムさんが指揮をとっていた当時の日本代表は、4位におわっている。
政情不安がつづいていたイラクは、国内での練習ができないなか、
気迫にみちたプレーで 感動的な初優勝をはたした。
祖国のため・国民のため、というセリフはよくきくけど、
そのことばがほんとうにプレーとしてあらわれる試合を
わたしははじめてみた。
こんかいの親善試合で、
シリアがおもいがけず 日本をくるしめたのは、
アジアカップのイラクとおなじように、
国民や祖国のためと、モチベーションがたかかったのだろう。
戦争や政治で国がめちゃくちゃになるのは
あってはならない事態だけど、
サッカーは、たしかに民族をまとめるちからがある。
さいわい日本は治安を心配したりせず、
サッカーに集中できるのぞまれた環境だ。
シリアやイラクと試合がくまれたこの時期の代表戦で、
試合内容やスタッツを気にするだけでなく、
平和にサッカーができるしあわせを、再確認したい。
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