2017年06月30日

認知症のかたのちからを うまくひきだしている ハーブショップのこころみ

しりあいのハーブショップで雑談していたら、
さいきん認知症の方に ビニールハウスの手つだいをしてもらっている、
といわれた。
おじさんにあたる方だそうで、
苗がたくさんはいっている箱をちがう場所へうつしたり、
ハウスまわりやポットの草とりをおねがいしているという。
草とりでは、ポットにはえた草を
ただぬいてください、とおねがいすると、
どのポットが草ぬきをおえたものかわからなくなり、
なかなか仕事がすすまなかったそうだ。
そんなとき、おわったら、ちがう場所へポットをうつす、
というルールをきめると、いっぺんでまちがいがなくなっている。
また、箱をうごかす仕事のむときは、
ハウスのむこう側にロープをはって、
このロープよりむこうへはこんでくださいと、
視覚的にわかりやすくすれば、
どこまではこべがいいのかを、
わすれずにとりくめるようになったという。

その認知症の方は、家にいるとふさぎこみがちだったけど、
ハウスではひとの役にたてるし、お金ももらえるので、
よろこんで仕事にこられるようになっている。
けしてむりにハウスですごしてもらっているのではなく、
店長さんにすれば、自分がやる仕事を
その方がやってくれるので、すごくたすかっているそうだ。

仕事のおわりをはっきりさせたり、
どこまで箱をもっていけばいいのかを、
みてわかるようにする工夫は、
ふだんわたしがしている障害者支援にも共通する。
はなしをきいていると、店長さんは
わたしよりもずっとじょうずに
認知症のかたのちからをひきだしている。
まったくの民間事業所であるハーブショップが
介護とか支援とかを意識しないで、
いかにも自然なかたちをとりながら、
認知症のかたの居場所となっている。
町づくりのすばらしい実践が、
おもいがけなく 身ぢかな場所でおこなわれていた。

認知症の方とすごすとき、
どうしてもできなくなったことに目がいきやすいけど、
店長さんのように、できることをみつけていけば
能力をいかせる仕事はきっとたくさんあるし、
そこではたらいてもらえば、おたがいがたすかる。
認知症の当事者や家族の方、
中途障害で 仕事をつづけられなくなった方など、
こうした関係を、おおくのひとがもとめているのではないか。
介護として、なにかをやってあげることばかりを意識するのではなく、
そのひとが得意な活動をみつけ、
どうしたら自分だけでとりくめるかを工夫すれば、
老人や障害をもったひとでも、もっと自然なかたちではたらける。
年をとれば、障害をもてば、
自動的に介護施設へまわされるのではなく、
できるだけそれまで自分がおくってきた生活をつづけながら、
はたらいて、まだひとの役にたてるのだという実感は、
施設にいるよりも ずっとまえむきな気もちをうみだすだろう。

ハーブショップの店長さんは、
社会のために役だとうとか、ボランティアになれば、なんて
まったくおもっていない。
ハウスでの仕事を手つだってもらうと、
ほんとうにたすかるから きてもらっている。
無理のない自然なかかわり方で、おたがいがいい気分ですごせる。
すばらしいとりくみに、すっかり感心した。

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posted by カルピス at 21:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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