1989年から2016年まで。28年間に本の雑誌が選んだ年間ベスト10がこれだ!
とある。
28年にわたるながい年月のなかで、
「本の雑誌」がとりあげてきた最良の記事を
10えらんだのかとおもっていたけど、ちがった。
『本の雑誌』は、毎年1月号に、その年のベスト10をえらんでおり、
この本は、28年分の座談会をぜんぶまとめたものだ。
28年分の「年間ベスト10」があつめられると、
たしかにこれは、ひとつのまとまりであり、
本えらびに役だちそうだ。
1500円(プラス税)なのですこしまよったけど、
目黒考二さんの「まえがき」をよむと、
この本は かうだけのねうちがあるとおもえてくる。
きちんと議論せず、声の大きい者、早く発言した者の推薦本がいつも上位を独占している、という批判はあるかもしれない。そう指摘する人がいたら、すみません、と言うしかない。本当にそうなのだから。ただひとつ言えることは、こういうベスト10はお遊びだということだ。もともと本に順位をつけること自体が可笑しいのである。本とはそういうものではない。だからこれは、お遊びにすぎない。
わたしも、ずいぶんテキトーなはなしあいで
ベスト10がきまってしまう座談会をよみ、
さすがにこれはいいかげんすぎると、しばしばおもっていた。
でも、「お遊び」とおもえば 納得できるし、
よくそのスタイルを28年間もつづけたものだと感心する。
その年のベスト10を参考に、本をよんでみると、
わたしにはさっぱりよさがわからないものがある。
本の雑誌がえらぶベスト10と、わたしのこのみは、
たいして相性がよくないけれど、
一年にいちどのおまつりとして、毎年たのしみにしている。
ベスト10えらびをまとめてよんでいると、
1回の座談会を もっとながく紙面にのこしたほうが
いいようにおもえてくる。
討論を、たった7ページにまとめてしまうのではなく、
議論をつくして作品のよさをつたえてほしい。
一年にいちどのイベントなのだから、
ほかの企画はサラッとながして、
圧倒的なボリュームを、ベスト10えらびにささげたほうがいい。
なぜ自分はこの本をえらんだのかを、
推薦するものが、くわしくはなしてくれたら、
読者はきっとその本をよみたくなる。
バランスなんてかんがえず、
「超大型特集」としてのベスト10をよんでみたい。
そうすると、別冊の形になってしまうのだろうか。
ほかではみられないいいかげんな座談会を、
もっとおもうぞんぶんによみたい。
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