伏木亨さんの「カレーライス」がのった。
カレーライスがかならずおいしいのはなぜか、についての記事だ。
まずいカレーライスをたべたことがない、
どうして失敗しないのか、という疑問から、
伏木さんはカレールウの油脂に着目し、
3種類のカレーをつくって試食実験している。
1 市販されているレトルトカレー
2 原料の油脂を大幅に削減したカレー
3 2のカレーに、何種類かの味をたして、
コクのある濃い味を狙ったもの
なぜおいしいのかではなく、
まずいカレーはなぜないのか、という発想がおもしろい。
結果は、1のカレーだけがおいしいと評価され、
2と3はあきらかに満足感がたりなかったという。
しかし、一週間後に、こんどは一種類ずつ試食してみると、
はじめの実験とはちがう結果がでている。
3種類のカレーとも、たかい評価をえたというのだ。
伏木さんによると、比較するからちがいをかんじるそうで、
なんだか わかったような、わからないようなはなしだ。
これで納得してしまっていいのか。
私たち一般人は、1週間前に食べたカレーの味を正確には覚えてはいない。その時に自分が感じた感覚を言葉で覚えているだけである。だから、1週間の間を置いて中身の情報なしに食べると、優劣を比較することができない。カレーライスという料理だけで私たちは十分においしいのである。
カレーライスに関しては、まずいという評価は、目の前でカレー同士を比較した時にだけ現れる特別の場合にかぎられるようである。カレーはどこで食べても美味しい理由である。
「カレーライスという料理だけで私たちは十分においしいのである」
というわれると、なんだか残念だ。
かんしい気もちさえする。
わたしたちの舌は、そんなにも気がきかないなんて。
ちょうど和歌山市でおきたカレー毒物混入事件から19年たったと
ある記事がつたえていた。
カレーであれば、わたしたちの舌は無条件でうけいれる。
だからあれだけの被害がひろがったのだろうか。
わたしが家でつくるのは、
クミンやコリアンダーなどをつかうインドカレーだ。
カレールウではなく、スパイスだけをくわえ、
そんなに手間をかけなくても、じゅうぶんおいしいカレーができる。
油はそんなにたくさんつかわない。
種類によってはギトギトのカレーもあるだろうけど、
インドカレーがイコール油っぽいとはおもわないほうがいい。
タイのカレーだって、どちらかといえばサラサラしている。
油脂がすくないとおいしくないという伏木さんの実験は、
あくまでも日本のカレーライスであり、
カレールウをほめたほうがいいのかもしれない。
くらべなければ、まずいカレーがない、
という伏木さんの説は、ほんとうだろうか。
いくら実験の結果とはいえ、すんなりとはしんじられない。
まずい、とまではいかなくても、
おいしくないカレーは、なんどもたべたような気がするけど。
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