運転手さんが 安全確認やら状況の説明をブツブツつぶやいている。
「信号まちで停車しています」
「バスからおりてすぐは、
うしろからくる車にお気をつけください」
「ゆっくりでいいですので、バスがとまってから
席をはなれてください」
など。
はじめはマイクでお客さんに説明しているのに、
マイクのスイッチがいれられてないのだとおもった。
でも、運転手さんのコメントをきいているうちに、
ひとりであれやこれやとつぶやきながら、
自分で運転のリズムをつくっているのだとわかってきた。
左折するときなど、
「横断者を確認しながら左折します」
「おいこしてくる車はいません」
と、指さし確認をしながら、
ものすごくこまかに安全な運転をこころがけているし、
お客さんがおりるときには、
じっさいにそのひとにはなしかけて、
お礼や注意をつたえている。
ウィンカーをつけずにまえをゆく車がまがったら、
「ウィンカーをだしてまがってほしかったです。あぶないです」
なんて感想や苦情をくちにする。
終点の車庫にはいろうと右折のウィンカーをだしても、
対向車がなかなかいれてくれないときは、
「みんないじわるですね」。
まえの車がとまり、パッシングで合図してくれたら、
「あ、ありがとうございます。感謝感激雨あられ」
なんていっていた。
ただこまかく安全確認をするだけでなく、
すごく人間味をかんじるつぶやきだ。
こんなふうにおしゃべりしながら運転していたら、
客観的かつ丁寧にはしれるだろう。
お客さんへの対応も マニュアルどおりの安全確認にくわえ、
必要なアドバイスを、ひとりひとりにはなしかけている。
ひとりでブツブツつぶやくのは、気もちわるい、
あるいは不気味、というひとも なかにはいるかもしれないけど、
これぐらいの自由は 運転手さんにみとめられてもいいとおもう。
おなじ日に バス停でバスをまっていたら、
60代とおもえる男性がわたしにはなしかけてきた。
「おさないころ火事にあいましてね」
なんのはなしかと耳をかたむけると、
そのままずっと自分のおいたちをはなしつづけられた。
しっかりした口調だし、身なりもととのったひとなので、
なにかわたしに関係のあるはなしかとおもっていたけど、
どうもそうではなく、
自分の身の上ばなしをこまかくかたっておられるようだ。
わたしにつれがいること、雨がふっていることなど、
状況をしっかり把握されており、
それらに配慮しながらも、ずっとはなしがつづく。
この方の場合は、バスの運転手さんとちがい、
ひとりごとではなく、わたしへのかたりかけなのだけど、
印象としては、いろいろはなすことで、
自分の気もちをおちつかせている。
極端にいいきってしまえば、ひとりごとといっしょだ。
いま、こんなふうなつぶやきが はやっているのだろうか。
かわったひとがいるものだとおもったけど、
このブログをにしたって、かんがえてみると、
わたしのひとりごとみたいなものだ。
だれかを説得したいわけではなく、
習慣だから、たのしいから、にすぎない。
ひとりでいつまでもブツブツつぶやくのは気もちわるい、
なんていわずに つきあってもらえたらうれしい。
スポンサードリンク