『ジャンプ』(佐藤正午・光文社文庫)をわすれてしまった。
http://parupisupipi.seesaa.net/article/455783131.html?1516194659
この本の解説を、わたしのすきな山本文緒さんがかいており、
チラッとめくってみると、
「読者のみなさんにお願いがあります。
先に解説を読まないでください」
とある。
そうか。そんなにいうのなら、
解説はあとのおたのしみにとっておこうと、
ちゃんと本文からよんでいたら、
ホテルにわすれてしまった。
いいところまでよんだ本を、自分の不注意でわすれ、
とちゅうでうちきるなんてすごく残念だ。
さいわいキンドル版がでていたので、
そちらをダウンロードした。
このまえブックオフにいくと、
佐藤正午さんの本は『ジャンプ』だけがおいてあった。
まだよんでない本がほしかったけど、
キンドル版には解説がなく、山本文緒の解説を
まだよんでいなかったので、
タイのホテルにわすれた本を、日本にかえってから
またかってしまった。
自分がものすごくおろかな人間におもえてきた。
ブックオフでかった『ジャンプ』は、
なんという奇遇か、わたしがホテルにわすれた本だった、
というのならものすごく不思議なはなしになるけど
(『鳩の撃退法』での『ピーターパン』みたいだ)、
もちろんまったくべつの『ジャンプ』だ。
以下、ネタバレになるかもしれないので、
まだ『ジャンプ』をよんでいないひとはご注意ください。
主人公の男性は、なぜアブジンスキーなどという、
つよいカクテルをのんだのか、
山本さんはなんども疑問をなげかけている。
山本さんの解説には、北上次郎さんの書評が引用されており、
のにち北上さんは、山本さんの解説を引用しながら
「勝手に」(すでに山本さんの解説がありながら)
解説をかいて、『勝手に!文庫解説』としてまとめるという、
ややこしいやりとりが『ジャンプ』をめぐっておこなわれている。
『ジャンプ』は、本のプロといべき小説家と書評家が、
それだけ気にするほど 一筋なわではいかない作品だ。
たまたまだけど、「ほぼ日」でいま、
佐藤正午さんと糸井重里さんの対談が連載されている。
http://www.1101.com/satoshogo/2018-01-17.html
佐藤正午という人物の正体を、
じわじわと糸井さんがときあかしていく。
主人公の「僕」は、なぜアブジンスキーをのんだのか。
それにより、彼と彼女の関係は、
なにかが決定的にかわったのか。
山本文緒さんは、じっさいにアブジンスキーをのんでみたそうだ。
たしかに、山本さんの解説は、
本文をよんでからのほうが 味わいぶかい。
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