リーグ戦がはじまって5試合を消化したのに、
いまもなおかちがない責任をとらされての解任だ。
堀監督といえば、昨シーズンのとちゅうで、
ペトロヴィッチ前監督のあとをひきつぎ
チームをみごとにたてなおした。
アジアチャンピオンズリーグで
10年ぶりの優勝をはたしたのも記憶にあたらしい。
しかし、過去がどんなにかがやいていても、
いまかてない現実のまえには
堀監督ほどの実績があっても、かんたんにクビをきられてしまう。
これは、クラブの成績がおちると、
下位リーグへの降格がちらついてくるからで、
1部と2部では、すべてにおいて、天と地ほどの差がある。
どこのクラブだって、降格はしたくないから、
かてなくなると、てっとりばやく監督を交代させるわけだ。
まえによんだ西部謙司さんの『監督の流儀』に、
ハワード=ウィルキンソン監督の名言が引用されている。
監督には二通りしかない。クビになった監督と、これからクビになる監督だ
監督がすぐにクビをきられるきびしさは、
世界じゅうのリーグに共通している。
サッカーをしってからは、日本のプロ野球が
ずいぶんなまぬるくおもえてしまった。
首位のチームとたとえ20ゲームはなされようが、
来年もまたおなじリーグで試合ができる。
サッカーのJ1リーグは、下位の3クラブがJ2に降格するし、
J2だって、J3へ2つのクラブが降格する。
監督の立場もきびしいけど、選手たちだって
いいプレーができなくなると すぐに試合でつかわれなくなる。
監督との相性もおおきく、自分を試合にださない監督なら、
ほかのクラブへの移籍をかんがえた方がいい場合もある。
きょねんまでいたクラブと、
ことしは別のクラブの選手として試合をするのは、
サッカーにおいて日常茶飯事だ。
そして、市場は日本だけでなく、
世界じゅうのサッカークラブへ移籍できるのだから、
クラブをかわることへのためらいがすくなく、
選手たちは すごくドライにクラブをわたりあるく。
わたしは、まえにいた職場をやめ、べつの事業所ではたらいたけど、
5年後に、またもとの職場にもどっている。
われながらはずかしげもなく、よくかえってきたとおもうけど、
サッカー界の常識では、これぐらいの移動はあたりまえなので、
わたしはあまり気にしないで もとの職場にもどれた。
わたしの意識としては、サッカー界が基準にあり、
おたがいの利害が一致すれば、どこではたらいてもいいとおもえた。
堀監督は、浦和レッズを解任されたけど、
だからといってダメ監督の烙印をおされたわけではなく、
きっとまたどこかのクラブからオファーをうけ、
自分がしんじるサッカーをつづけられるだろう。
能力があれば、だれかが自分を必要とし、
条件があえばクラブをまかせてくれる。
サッカー界のきびしさは、公平な実力主義の場でもある。
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