と、かいておきながら、8月号の特集
「消えた出版社を探せ!」はほとんどスルーした。
わたしをよろこばしたのは、宮田珠己さんによる新連載
「私がロト7に当たるまで」で、
いかにも宮田さんらしい文章にうれしくなった。
さらにゆゆしいのは、実際問題生活が苦しいことだ。どういうわけか働いているのに食うべからずな感じなのである。私の仕事の成果が正当に評価されていないのではないか。
否、私の仕事の成果が正当に評価されすぎているのではあるまいか。
宮田さんが、ロト7にあたるまでつづくらしい、
この連載をたのしみにしている。
「新刊めったくたガイド」では、
akira 氏による書評をあてにして、
その月によむミステリーをえらんでいる。
数冊がとりあげられるので、そのうちのおもしろそうな本、
なおかつ文庫で出版された本がわたしのねらい目で、
500ページをこえるぐらいのあつさがのぞましい。
ねるまえに、寝酒とともにすこしずつよみすすめるのが
わたしの至福のときで、それには、あるていどのあつさがほしい。
いちばんはじめにすすめられている『要秘匿』
(カレン=クリーブランド)が今月号での収穫となりそうだ。
8月号ならではの企画は
「2018年上半期ベスト1」だ。
ここではなしあわれた内容が、
年末のベスト10えらびのときになると、
ほとんどわすれられてしまうので、
たいして意味がないような「ベスト1」えらびにおもえる。
だからこそ、7月といういまの段階で、
とりあげておく必要があるのかもしれない。
わたしがよんだ本は、朝日新聞で連載されていた
『ディス・イズ・ザ・デイ』(津村記久子)だけで、
でも、この本が正当な評価をうけているのをよろこぶ。
推薦した営業の杉江さんが
6位に入れて欲しいのは年末のサッカー本大賞受賞が決まってるんですけど、津村記久子の『ディス・イズ・ザ・デイ』。J2を応援しているサポーター小説で、ディテールが細かくて、サッカーファン感涙です。
と、あつくすすめている。
「年末のサッカー本大賞受賞が決まってるんですけど」
がたのもしい。
わたしがたのしみにしているもうひとつの連載は
速水健朗氏による「モーター文学のススメ」で、
ロードムービーならぬ、ロード小説をすすめてくれる。
6月号では『ロング・グッドバイ』を、
ロード小説の視点からとりあげてあり おもしろかった。
レノックスとマーロウの関係が、
『ダンス・ダンス・ダンス』(村上春樹)の
五反田君と「僕」との関係のひな形、という指摘、
そして、ふたりがのる自動車とからめての分析がよませる。
速水氏が今月号でとりあげるロード小説は、
学生運動家くずれのお父さんが、シトロエン2CVにのって
むすこと旅にでるはなし。
となると、奥田英朗の『サウス・バウンド』をおもいださせる。
あの傑作をこえるのはむつかしいだろうけど、
わたしがすきそうな内容におもえる。
「辻村深月の10冊」(国樹由香)もいい仕事をしている。
辻村さんの小説は、作品どうしがリンクしているものがおおく、
どれをとりあげるか、なかなかきめにくい。
わたしが辻村さんの作品に熱中していたのは、
5年以上まえになるので、こまかな感想はわすれたけど、
国樹さんによる「辻村深月の10冊」をよんで
辻村作品のおもしろさを すこしだけおもいだした。
とりあげられている10冊は、どれもよませるけど、
シンプルに、でもさいごのどんでんがえしにおどろかされる
『ロードムービー』を、わたしはおすすめする。
「モーター文学のススメ」つながり、というわけではないけど。
本ずき、本がなければ生きていけないひとたちが、
『本の雑誌』を ぶあつくとりまいているのをかんじる。
8月号は、とくにわたしむきの記事がおおく たのしめた。
この本をよめるしあわせに感謝する。
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