2018年08月13日

『ガールズ&パンツァー 劇場版』すぐれた映画作品としてたのしむ

『ガールズ&パンツァー 劇場版』
(水島努:監督・2015年・日本)

『ガールズ&パンツァー』テレビ版の@と、
この劇場版を、レンタル店でかりてきた。
まずテレビ版をみる。
乙女のたしなみとして、花道や茶道とともに、
「戦車道」が存在する世界、というのが基本設定だ。
戦車道をきわめることが、よき母、よき妻への道である。
なんてことをいうと、憲法をかえようとしてるひとが
おおよろこびしそうな作品にもおもえる。
戦車がげんきにうごきまわり、生理的な快感にひたりながら、
こうした作品をよろこんでみてもいいのか、
ほんのすこしためらいもうまれる。

劇場版は、「戦車道」などの基本設定はまったく説明されず、
いきなり戦車戦からはじまっており、
でも、なんの違和感もなく作品にはいりこめる。
はじめは、戦車と女の子たちのアニメとしてみていたけど、
だんだんと、すぐれた映画作品としてのめりこんでいた。
絵がきれいで、戦車の小気味いいうごきによいしれる。

大洗女子学園が廃校の危機をむかえる。
学園は閉鎖され、学園艦は
みほたちをいなか町にのこして港をはなれていった。
どんな展開で、この絶対的な逆境をのりきるのだろうか。
なんと、あのテキトーな生徒会長が各方面にはたらきかけ、
大学選抜とのたたかいにかてば、廃校をまぬがれるという。
ここからぐっと映画がおもしろくなっていく。

大学選抜は、センチュリオンやパーシングといった、
第二次世界大戦末期に開発された戦車を主力としており、
いっぽう、高校選抜ともよべるみほたちのチームは、
ティーガーIやティーガーII、バンターがあるものの、
中心となるのはふるい戦車だ。
火力や走力におとる高校選抜が、
どうたたかうかがみどころとなるわけだけど、
そこにリアリティをあたえるのが
すぐれたアニメのおもしろさだ。
たたかいは しだいにはげしさをまし、
さいごにのこるのは、大学選抜のセンチュリオンと
高校選抜のティーガーI型とIV号戦車のみとなる・・・。
主人公の みほを、IV号戦車にのせたあたりに、
監督のセンスがうかがえる。

ブリキでできたような旧日本陸軍の戦車も活躍する。
火力はとぼしいけど、おおはばな改造がなされたのか、
すごいスピードでうごきまわる。
のりくみ員は、高校の伝統である突撃しか頭になく、
どんな場面でも、結局は「突撃しなかい!」と
やたらとつっこもうとするのがおかしかった。
子どものころをふりかえる場面では、
みほとお姉さんがII号戦車にのって
いなか道をトコトコすすんでいく。
戦車にのりながらも、牧歌的にみえるうつくしいシーンだ。
たたかいの場面でなくても、さすに戦車道の家元らしく
つねに戦車が身のまわりにある。

ほかの作品では悪役にまわることのおおい
ソビエトのT-34やギガントがたのもしい味方だったり、
大学選抜が60センチ砲のカール自走臼砲を発射したりと、
戦車ずきにはたまらない作品にしあがっている。
燃料の補給や車両の整備はどうしてたのだろう、とか、
あの時代の戦車は、はしりながら発射できないはず、なんて、
こまかいことはいいっこなし。
こんな作品をつくりあげたスタッフに、
たくさんの拍手をおくりたい。
みおわったあと、すぐれた戦車のりは、
きっと人格的にもすぐれた人物なのだろうと、
「戦車道」をしんじるようになっていた。

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posted by カルピス at 22:55 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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