まず車で相棒をむかえにいき、ふたりで数件の農家をまわる。
相棒は、車にのりこむと、ポケットから
10枚ぐらいかさねてあるCDの束をとりだし、
そのときの気分にあった曲をかける。
すべてアイドル系のガールズバンドだ。
グループ名をきいても、すぐにわすれてしまうので、
もう相棒にたずねるるのはやめた。
まえはももクロがいちおしだったけど、
いまはAKBと欅坂がおおいみたいだ。
相棒をむかえにいくとき、けさはNHK-FMで
サイモンとガーファンクルの特集をきいていた。
これから「明日にかける橋」というところで相棒の家につき、
相棒はすぐに欅坂のCDをかけた。
かなり残念だったけど、これも仕事なので、
わたしがすきな番組を優先させるわけにはいかない。
相棒は、CDをききたくて
野菜あつめにくわわっているところがある。
かんがえ方をかえれば、
朝からアイドルグループのCDをききながら
田舎道をはしって野菜をあつめるなんて、
ものすごくめぐまれた仕事かもしれない。
山道に演歌では絵にならないけど、
アイドルなら そのからっぽ感が人生の無常をおしえてくれる。
たずねる農家には、わりとおおきな犬がいて、
3ヶ月たつのにまだ威勢よくほえられてしまう。
でも、敵意むきだしのでむかえではないので、
このまえから 犬にちかづいてはなしかけている。
前回はからだをさわらせてくれた。
きょうは頭やアゴをなでると、気もちよさそうにうずくまり
もっともっとと、催促してくれた。
おおきな犬なので存在感があり、そんなふうに
なかよくしてくれるとすごくうれしい。
介護施設などでおこなわれている、
保護犬によるセラピーみたいなのが新聞にのっていた。
そばにいてくれるだけで、
気もちをおちつかせてくれるちからが
おおきな犬にはある。
『アルプスの少女ハイジ』で
おじいさんがかっていたヨーゼフが、
大型犬のセントバーナードだったのは偶然ではない。
いつもはねてばかりいる印象で、
ハイジたちとじゃれあうわけではないけど、
ヨーゼフがそばにいてくれるからこそ
ハイジとペーター、それにクララは、
おとなたちがいなくても安心してあそびまわれた。
アイドルグループのキャピキャピした曲を毎朝きき、
おおきな犬になかよくしてもらいと、
人生は おもいがけず、いろいろなことがおこる。
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