2018年10月14日

『本の雑誌 11月号』のおすすめ記事

『本の雑誌 11月号』の特集は
「最強ロボット選手権!」だけど、
SFにくらいわたしには、ほかの記事がおもしろかった。

なんといっても「バーナード嬢曰く。」が
番外編としてのっている。
かんがえてみれば、「バーナード嬢」くらい
「本の雑誌」にふさわしい掲載マンガはない。
今回は、2ページというかぎられた枚数にもかかわらず、
神林によるみごとな要約が読書欲をくすぐる。
アシモフの『バイセンテニアル・マン』と、
ゼラズニイの『フロストとベータ』をよんでみたくなった。

椎名誠さんの連載「新旧いろいろ面白本」もよかった。
地球でいちばんたかい山はチョモランマ(8848m)だけど、
火星には標高2万5000mをこす山があるそうだ。
なんで地球にはめちゃくちゃなたかさの山が存在しないのか、
そういえば、これまでかんがえたことがなかった。
気球の重力と地殻の強度が山のたかさをきめるらしい。

宇田川拓也さんによるミステリー作品の紹介では、
「刑事ショーン=ダフィー」シリーズの2作目、
「サイレンズ・イン・ザ・ストリート」が、
ハヤカワ・ミステリ文庫から出版されるという。
1作目『コールド・コールド・グラウンド』での
だめ刑事ぶりがおもしろかったので、
2作目をたのしみにしていた。

西村賢太さんによる連載「一私小説書きの日乗」は、
西村さんの近況が日記で記録されている。
 朝、連載の「雨滴は続く」の白旗を揚げる。二箇月連続の休載。止むなし。
 夕方、苦しまぎれに東京駅から新幹線に乗りて、名古屋に行ってみる。

くるしまぎれに、フラッと新幹線にのるのがおもしろい。
もっとも、西村さんはなんどもこの手をつかうものだから

「これも少し習慣化してきたので、さして面白くなし。」

なんでもくりかえと、なにごとも新鮮味がなくなってしまう。

もうひとつ、西村さんの酒量と食欲にもおどろかされる。
 ラーメン屋に入って生ビール一、ウーロンハイ六。
 餃子、レバニラ炒め、鶏の手羽先煮。
最後に、うま煮そばと玉子チャーハンを食して帰室。
 上を向いたらキリがないが、生きていれば、そのうち自身にとっての会心の仕事もできよう。

やけぐいなのか、すごい量の夕ごはんだ。
「生きていれば・・・」と、
ゴーマンなのか謙虚なのか、わからないところがおかしい。

宮田珠己さんの連載「私がロト7に当たるまで」は、
だんだんはなしがこじれ、おもしろくなってきた。
宮田さんによると、ロト7をかう理由は、
100歳までながいきしてしまったときの予備措置なのだそうだ。
死にたくはないけど、長生きも困るというのが、われわれの現実だ。当てるしかない。

さいごに、わたしがすきな連載、
速水健朗さんによる「モーター文学のススメ」では、
吉田修一の『悪人』がとりあげられている。
妻夫木聡がえんじた祐一は、スカイラインGT-Rで、
岡田将生がえんじた圭吾はアウディA6にのっていることから、
ふたりがおかれている状況を推測できる。
 スカイラインGT-Rは、この小説の準主役的存在だ。これがアルファードだったら話は成立しない。

と、小説を車から分析しているのがこの連載の特徴だ。
GT-RのなかでもR32でなければだめで、
R33は「あれは日産の失敗作」、という細部のはなしがたのしい。

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posted by カルピス at 21:50 | Comment(0) | 本の雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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