録画して、夜すこしずつみる。
どの場面でも、ほんのすこしでもみると、さいごまで
ずるずるとみつづけてしまうほどおもしろい。
このブログでも、うっかりさいごまでみてしまった、
と記事にしている。しかも2回。
もう40年ちかくまえの作品なのに、賞味期限はきていない。
いまでもじゅうぶん鑑賞にたえる。
ただ、この作品のよわさは効果音のおこちゃま性だ。
いかにもおさない子どもにむけた漫画映画のように、
「ジャーン!」と、おもしろさを強調するのがすこし鼻につく。
この作品がつくられたとき、音楽担当者は、
どうせ子どもあいての映画なんでしょ、と
かるくかんがえたのではないか。
宮崎さんも、そのころは画面づくりにせいいっぱいで、
とても効果音にまで手がまわらなかったと想像する。
これまで気づかなかったけど、
ルパンが湖をみわたしながらクラリスをおもいだし、
感傷にふける場面がとてもうつくしい。
湖の全景をカメラがゆっくりとうつしだす。
湖のさきはアルプスをのぞんでいる。
その背景のもと、時計台の鐘がしずかにときをつげる。
アクションシーンがおおいカリオストロにあって、
おちついたこの場面が、作品をひきしめている。
なんどみてもおもしろいのは、
結婚式にのりこんだルパンたちにより、
式がめちゃくちゃになる場面だ。
ルパンたちが伯爵の影とたたかっているいっぽう、
不二子のカメラは銭形をおいかける。
地下の偽札工房へおりた銭形が
ん?あそこにあるのは、
ありゃ、日本の札、これは偽札だ!
ルパンをおってて とんでもないものをみつけてしまった。
どーしよー。
と 棒よみするセリフが このうえなくきいている。
わたしが小学生だった50年まえ、
学校の体育館で、ときどき映画の上映会があり、
『長靴をはいた猫』をなんどもみた。
「え〜!また『長靴をはいた猫』?もうみあきた」
といいながらも、
子どもたちはすぐに画面から目がはなせなくなり、
おおわらいしながら魔王とのたたかいをたのしんだ。
おとなになってからは、え〜!また『カリオストロ』?
とあきれるくらい、よく放映され、
そのおおくにわたしはついついつきあってしまう。
『長靴をはいた猫』のドタバタシーンのおおくは、
宮崎さんが原画を担当していたそうで、
『カリオストロ』は、もちろん宮崎さんが監督をつとめた。
わたしの青少年期は、宮崎さんの冒険活劇によってつくられた。
いまこれをかいていて、
『長靴をはいた猫』はおおむかしの作品だとおもっていたけど、
つくられたのは1969年で、「カリオストロ」と10年しかちがわない。
「長靴」と「カリオストロ」をくらべた印象は、
「長靴」がアニメーションの黎明期につくられた古典なのにたいし、
カリオストロは、じゅうぶん現代にも通用する 完成度のたかい作品だ。
わずか10年で、アニメーションが
ものすごく進化したのにおどろかされる。
1989年当時、「カリオストロ」の出現は、
ひとつの奇跡だったにちがいない。
タグ:カリオストロの城
スポンサードリンク