河井さんは、ヘタウマの絵が世界的に有名な
アーティストなのだという。
子どもがかいたような河井さんの絵は、
のびのびしているとはおもうものの、
創作に目のこえたひとたちから
たかい評価をえているといわれ、おどろいてしまう。
すべてがすばらしいと、おおくのひとを夢中にさせる。
河井さんの絵はわからないけど、
河井さんのたのしそうな笑顔はわたしをひきつける。
ホテルからの依頼で、河井さんがホテル内の壁に絵をかきだした。
ローラーに絵の具をつけ、いきなり壁にぬっていく。
ヘビやさかなの絵ができあがった、とおもったら、
そのうえからまた絵の具をぬりつけ、べつの絵をかきはじめる。
「予定どおりいかないほうがおもしろい」
「どんどんへたになりたいな」
「つくるのたのしいよー、をつたえたい」
1年のほとんどを、外国でくらしている。
ひとつの町に何ヶ月か滞在して作品をしあげる。
ちがう町につくと、はじめの2週間は、
その町の空気になれようと、ゆっくりすごす。
デンマークでくらす自分は想像できるけど、
日本でくらす自分は想像できないなー、という。
たしかに、日本にいたら、
河井さんはいきいきとくらせないだろう。
自由に作品をつくりあげていく河井さんをみていると、
自分のちいささがいやになってきた。
なんでもありで、どんなことでも
「だめ」といいそうにない河合さんとくらべ、
わたしはなんというつまらない人間なのか。
いちにち いちにちを、なんとか生きてるだけで、
気もちのゆとりがなくなっている。
時間にしばられ、1分をうかせ、かきあつめようと、
まえをはしる車の運転にイライラする。
じぶんからたのしいくらしを、ほうりだしている。
だれもが河井さんのようには生きられないけれど、
気もちのもち方なら、いくらかは みならえる。
河井さんの創作をみたあとでは、いろいろうまくいかないことも
まるでたいした問題ではないようにおもえる。
河井さんは、生き方がすでにアートだ。
河井さんの笑顔は、おおくのひとをしあわせにする。
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