(赤木かん子・ちくまプリマー新書)
図書館の返却本コーナーにあったのが目についた。
かん子さんがすすめる100冊ならまちがいないだろう。
こどもの本は、みじかい分量に、
ふかい内容がもりこまれているので、
生活をたのしむ おだやかなこころを
とりもどせるような気がする。
ゆとりのないわたしの生活には、
もうすこし しずけさとおちつきが必要だ。
まずしくても、家族関係がうまくいかなくても、
ろくでもないできごとばかりおきても、
こどもの本をよめば、きっとなんとかしてくれる。
これは、あんがいはなしが逆かもしれない。
わたしはいまなにか重大ななやみをかかえていて、
そのふしめをなんとかきりぬけようと、
この本に目をうばわれた可能性がある。
よみはじめてみると、とりあげられているどの本もおもしろそうだ。
フセンをはって、あとでリストアップしようとおもったけど、
どの本にもフセンをはりたくなったので、すぐにあきらめた。
すべてが必読書におもえる。きっとすべてが必読書だ。
第3章の「児童文学は愛情不足をこんなふうに描いています」では、
そうして最終的には、親が揃っているかどうか、という形ではなく、子どもが安全だ、と思う環境で暮らせること、その子を愛して可愛がる大人が一人はいることがポイントなのだ、ということを見つけ出したのです。
安全とおもえる環境で、可愛がられること。
すごくシンプルなのに、
そんなことさえ子どもたちにあたえられていないなんて。
『青さぎ牧場』(ヘブサ・F・ブリンズミード)の紹介は、
五歳かそこらでお母さんが亡くなったあと、超高級女子寄宿舎に放り込まれ、なのに父親は一度も会いにこない、ということになれば、どんな子だって怒るでしょう。
というわけで、めっぽう頭のいい、美人のアマリリスは、大学入試資格を得た十七歳になる頃には一人の友だちもいない、プライドの高い、鋼鉄のレディになっていました。
すごくおもしろそう。
『変身』(カフカ)のかきだしをよんで、
そのさきをよみたくないひとがいるとしたら、
どんなかきだしも無力だ、みたいにいわれている。
かん子さんの紹介文もおなじで、
どれもキモとなる部分を きっちりしめしてあり、
ついそのさきをよみたくなる。
とりあげてある本のなかには、
わたしがこれまでによんでいるものもあった、
とおもったけど、ちがった。
『今こそ読みたい児童文学100』をガイドとして
それらの本にであっていたのだ。
つまり、わたしはすでに
『今こそ読みたい児童文学100』をよんでいた。
ブログをみると、4年半ほどまえの記事に、
いまかいている感想よりも、
ずっとくわしくこの本を紹介している。
http://parupisupipi.seesaa.net/article/403890925.html
いったい4年半はわたしをどうかえたのか
(あるいはかわらなかったのか)。
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