これは、本の雑誌の杉江さんが、
娘さんの卒業式でつぶやいたことばだ。
http://www.webdoku.jp/column/sugie/2019/03/16/141028.html
はなむけとして娘さんに直接はなしたのではなく、
ふしめをむかえる娘さんへ、胸のなかでかたりかけながら、
自分にいいきかせているかんじがする。
「好きに生きろ。仲間を大切にしろ。楽しんで暮らせ」
人生において、この3つくらい 大切なこころがまえはない。
すばらしいおくることばだ。
本の雑誌の方針は
「無理をしない。頭を下げない、威張らない」で
これもまたいい味をだしている。
会社として、こんなことなかなかいえない。
ソチオリンピックのときにみかけた
「HOT,COOL,YOURS」もよかった。
「熱く、冷静に、おまえのレースだ!」という意味らしい。
胸にひびくことばは数々あるけど、
でも、ことばって、ごくかぎられた情報しか
つたえられないとおもう。
「彼の家が火事でやけた」
文章としては、さらっとよめるし、
耳できいたときにもかんたんに理解できる。
でも、ほんとうに家をやかれた本人にとっては、
ものすごくたいへんな状況だろうに、
よんだりきいているぶんには 他人ごとでしかなく、
ほとんど胸にせまらない。
彼のつらさ、たいへんさは、
「彼の家が火事でやけた」
なんてことばでは とてもあらわせない。
「深海魚が、海底からいっきに海上にひきあげられ、
ショックをうけよわっている」
はどうだろうか。
よんでるほうはなんともないけど、
「いっきにひきあげられた」深海魚にしたら、
たいへんな事態だ。
ことばって、かんたんには 状況をつたえられない。
ことばの有限性を意識したほうがいいし、
ことばにたよりすぎて仕事をしたらダメだな、ともおもう。
わたしはむすこが高校を卒業するときに、
おくることばを なにもはなしていない。
胸のなかでつぶやきもしなかった。
3月の下旬に、語学留学でフィリピンへ出発するむすこにも、
「いってらっしゃい。げんきで」
しかいわなかった。
こまごましたアドバイスをかたってもしかたないし、
ことばでつたえられことは そうおおくない。
杉江さんのように、自分にいいきかせるぐらいしかできない。
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