映画『グリーンブック』で
ドクが毎晩1本あけていたウィスキーだ。
みどり色が特徴的な背のたかいボトル。
ブレンドされたスコッチウィスキーで、
しかも1本1000円ぐらいとやすい。
ドクのまねがしたいだけなので、もちろんストレートにする。
上流階級にぞくするドクが、なぜカティサークにこだわるのだろう。
どんなメッセージがこめられているのか、
あるいは、なにかのコンプレックスと関係があるのか。
ドクのふるまいからは、ウィスキーなら
シングルモルトがにあいそうなのに。
そだちや環境に、ドクがふかい闇をかかえているとはいえ、
毎晩1本のウィスキーは度をこしている。
からだに、ましてや演奏にいいわけがない。
それでもドクは1本のウィスキーを あけずにおれなかった。
映画のなかでドクがカティサークをのむとき、
ただぼんやりと椅子にすわり、
チェイサーもなしにショットグラスを口にはこんでいる。
おいしいからのむというよりも、孤独さがきわだつのみ方だった。
黒人専用のクラブでトニーが
「カティサークと今夜のスペシャル」を注文する。
「そんな気どった酒、おいてあるわけないでしょ」
とじゃけんにあつかわれるのかとおもっていたら、
すぐにつうじた。
ドクがバーボンをのまないのはわかる気がするけど、
黒人専用のクラブでスコッチというのは意外だった。
アメリカで、カティサークがどういう存在なのか
わたしには知識がないので、不思議におもえた場面だ。
『グリーンブック』をみたあとで
フライドチキンをたべたくなったひとはおおいだろう。
カティサークもまた、あの映画のあとでは
必然的にからだがもとめる酒だ。
いつもバランタインの水わりをのんでいるわたしは、
カティサークのやすっぽい味わいに したしみをおぼえる。
ドクとはちがい、1/5ほどのめば、寝酒としてじゅうぶんだった。
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