2019年04月28日

「本の雑誌が選んだ平成30年間の第1位30冊」は、「佐藤」作品がつよい

「本の雑誌が選んだ平成30年間の第1位30冊」
http://www.webdoku.jp/newshz/zasshi/2019/04/23/100830.html

「本の雑誌」は、毎年1月号(発売は12月なので)に
その年のベスト10を発表している。
「本の雑誌」の社員が座談会をひらき、
それぞれが気にいった本を推薦する、という方法だけど、
それがまたけっこうどうでもいいはなしあいだ。
社員のちから関係や、声のおおきいひと、
なんとなくの雰囲気がきめてとなる、
あそびみたいな企画、といってよい。
こんかい紹介する「平成30年間の第1位30冊」は、
30年にわたるベスト10のつみかさねを、
1位だけにしぼってまとめたものだ。

この記事も、
きちんと議論もせず、声の大きい者、早く推薦した者の推薦本がいつも上位を独占している"ようなお遊び企画なので、決してここから平成という時代の世相が見えることはない。

とことわったうえで、30年をふりかえると、
"佐藤"が強い

という、おもわぬ傾向を指摘している。

平成9年(1997年)
『しゃべれども しゃべれども』佐藤多佳子
平成11年(1999年)
『双頭の鷲』佐藤賢一
平成12年(2000年)
『ジャンプ』佐藤正午
平成18年(2006年)
『一瞬の風になれ』佐藤多佳子
平成19年(2007年)
『ミノタウロス』佐藤亜紀
平成21年(2009年)『デンデラ』佐藤友哉

30回のうち、6回を「佐藤」がしめている。
ただの偶然にはおもえない割合だけど、
でも、これはきっとただの偶然だ。
ミステリーをよんでいると、
「偶然」なんて都合のいいことはありえないことをまなぶ。
「偶然」にみえても、きっとそれは
だれかが意図的にしくんだワナとおもってまちがいない。
しかし、「本の雑誌」の場合、
だれかが情報を操作するような勤勉な会社ではないので、
「佐藤」姓がおおくても、ただの偶然だとしんじて大丈夫だ。

「佐藤」作品のうち、3冊をわたしはよんでいる。
・『しゃべれども しゃべれども』佐藤多佳子
・『ジャンプ』佐藤正午
・『一瞬の風になれ』佐藤多佳子
どれもおもしろかった。さすがに「佐藤」はつよい。

「佐藤」以外によんだ1位作品は、
・『流星ワゴン』重松清
・『風味絶佳』山田詠美
・『ふがいない僕は空を見た』窪美澄
・『なぎさ』山本文緒
の4作で、これもまた、どれもそれぞれおもしろかった。
「佐藤」作品との差は、わたしにはわからない。

あたりまえだけど、姓による差なんて あるわけがない。
はじめに紹介したように、
1位になるか、10位になるか、それともランク外かは、
座談会の雰囲気できまる。
1位の作品が、10位よりも、
ずっとおもしろいとはかぎらないわけで、
30年間のベスト1位といっても、
ほとんど意味をもたない「まとめ」でしかない。
といいつつも、
「佐藤」がつよいのは、なんでだ。

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posted by カルピス at 22:21 | Comment(0) | 本の雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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