吉田くんのTシャツが2枚おいてあった。
とうぜん自虐ギャグがかかれている。
・島根は、もう本気出しつくしました。
・妖怪が多いのが鳥取で、
神様が多いのが島根です。
「2400縁」はたかいのでかわなかった。
「島根は、もう本気出しつくしました」
は、みなれた自虐ギャグと すこしちがう。
いつもだと、島根の過疎ぶりを強調するのだけど、
「もう本気出しつくしました」は、
さらに一歩ふみこんで、虚無の空気感にみちている。
これまでさんざんがんばってきたけど、
なにをやってもだめでした。
もうつかれてうごけません。まけました、と
かわいたこころで白旗をあげているのが
「島根は、もう本気出しつくしました」だ。
くやしさやかなしみの段階は ずっとまえにおえ、
いまや仙人の境地にたっしたのが 島根県といえるだろう。
ゆるキャラの人気をきめる投票がおこなわれたり、
都道府県や市町村が地元をPRするのに、
あれやこれやと手をつくしている状況は、
がんばるげんきのない市町村にとって、
負担がおおきく、とてもつかれてしまう。
もうそんなげんきもないと、
たたかいのスタートラインにつくことさえ放棄し、
順位をあらそう競争なんてどうでもいいから、
観光客もそんなにこなくていいから、
うちらはこのままひっそりやっていきます、という
宣言にわたしはうけとめた。
犬だったら おなかをだして
無条件降伏のポーズをとっているのが
「もう本気出しつくし」た島根県であり、
自虐をこえた無為の境地への変化がかんじられる。
儒教から 老子のおしえへの きりかえが
島根ではすすんでいるのではないか。
市町村PRの競争から、島根県は はやばやとおりた。
ところが、ややこしいことに、
逆説的にいうと、それもまた戦術となりえる。
ガイドブックにのらないことが、
いちばんの宣伝になる時代であり、
競争からおりた島根県にこそ、
世界の注目があつまるかもしれない。
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