ローマ字が、日本にはいってきた歴史的な経緯や、
ヘボン式と訓令式のローマ字があると説明している。
ローマ字運動についてもふれており、そのなかに、
民族学者の梅棹忠夫は漢字より伝達能率が高いとして「日本語のローマ字化」が持論だった。
と梅棹さんの名前があがっている。
漢字かなまじりの日本語はタイプライターにのらなかったけど、
ワープロとパソコンの出現により、
日本語が機械であつかえるようになったと、
一般的にはうけとめられている。
しかし梅棹さんは、新聞の記事にもあるとおり、
情報をあつかうときの能率を問題にかんがえていた。
ワープロにより、日本語が機械であつかえるようになったというけど、
問題をさきおくりしただけ、というのが梅棹さんのとらえ方だ。
ヨーロッパやアメリカにおけるローマ字がきの諸言語にくらべると、効率性において比較にならないほどおとっている。(中略)いままでのところは、この漢字かなまじりという不合理きわまるシステムでなんとかつじつまをあわせてきたが、21世紀の文明をかんがえると、これで情報の質と量において競争に勝つのはむつかしいであろう。(「情報時代と日本語のローマ字化」1995.1.4 朝日新聞に掲載)
というみかたをしている。
ワープロがつかわれるようになって40年がすぎ、
パソコンで日本語をかくのも
いまではだれもがあたりまえの環境としている。
しかし、梅棹さんが問題視していた効率性については、
これから日本のおくれがあきらかになるのではないか。
NHKの「クールジャパン」をみていたら、
スタジオにきていたシステムエンジニアの男性(ロシア人)が、
日本は情報化におくれており、
あと10年で ほかの国と そうとう差がつくのでは、とはなしていた。
情報の最前線にたつひとたちは、
漢字かなまじり文をすてずにきた日本文明を
どうとらえているのだろう。
けさの記事にはなしをもどすと、
デーブ=スペクターさんが「文字を選べるぜいたく」として、
コメントをよせている。
日本の文字がローマ字だけにならなくてよかったですよ。だって、味気ないでしょう。日本では漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字と四つもあって、選べる。
よく耳にするとらえ方であり、おおくの賛成をあつめそうだ。
スペクターさんがいみじくも「ぜいたく」といっているように、
4つの表記をまじえるのは、優雅で繊細な文化かもしれない。
しかし、そのぜいたくに こだわっているうちに、
情報化の競争からおいてきぼりされてもいいのか、
というのが梅棹さんの問題意識だ。
あと10年で、日本と諸外国は、どれだけの差がついているだろうか。
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