なにごとも分類するのがじょうずな酒井順子さんが、
こんどは「駄目な世代」を発見した。
酒井さんが「駄目な世代」と名づけたのは、
バブル景気のころに学生時代をすごした世代であり、
だいたい1965年前後にうまれたひとたちをさす。
バブルのころにさんざんあそび、就職も超うりて市場で、
苦労しなくても、だれでも一流企業にはいれた時代。
たのしいことがだいすきで、わかさだけがとりえなのに、
ちやほやされつづけた彼・彼女らが、
「駄目」になっていったのは、自然なながれといえるだろう。
自分たちの世代は、「駄目」なのではないかと
酒井さんは うすうす気づいていた。
わかいころ「駄目」なのは しかたないとしても、
年をかさねても「駄目」なままなのが あきらかになってくる。
「駄目な世代」にしろ、「負け犬」にしろ、
あたらしい概念ではないけれど、
ふるくからあることばに ちがう角度から光をあてて、
世代の特徴をざっくりと整理するのが、酒井さんは ほんとうにうまい。
表紙につかわれているわかい男女の絵が、
この本がいわんとする「駄目世代」を的確にあらわしている。
みるからにフワフワで、
このひとたちに期待してもしょうがないと
いっぺんでわかるチャラいふたり。
じっさい、「駄目な世代」の社員は、
会社にとって、おおきな負債になっているそうで、
上からも下からも もてあまされている例がでてくる。
なぜそのような世代がそだってしまったかを、
ふかいあきらめと、じゃっかんのひらきなおりのすえ、
こまかい分析をつみかさねて 本書はできあがった。
酒井さんの本は、どれもおもしろいながら、
発見が成功しているのは、いくつかにしぼられてくる。
この本は、そうしたアタリの一冊としてつよくすすめられる。
そんな我々が先導したのは、流行や消費だけではありません。我々世代が日本に与えた最も大きな影響、それは晩婚化・少子化を推し進めたということなのではないかと、私は思っています。(中略)
1.57ショックの時、私は23歳、そして1.26(統計史上最低の出生率)のとき、39歳。日本国中が若い女性に対して「産め!」と期待していた時、私はまさに「産み頃」でした。しかし私はやっぱりその時代、10代の頃と同じように、アイだのコイだのハワイだのおしゃれだのにキャッキャしていただけだったのです。
そんな我々を見て、平成人の女性達が、「ああはなるまい」と思ってくれているのであれば、それがせめてもの我々の存在価値かもしれません。
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