2019年12月04日

『中年だって生きている』(酒井順子)

『中年だって生きている』(酒井順子・集英社)
 私を含め、自分のことを「中年ではあるがおばさんだとは思っていない」という人は、「中年」は年齢を示す言葉で、「おばさん」は、精神のあり方を示す言葉だと思っています。

タイトルどおりの内容だ。
中年だって、生きている。
おばさんではなく、中年。
年齢をかさねつつある女性の心理を、
酒井さんぐらい的確にえがけるひとはいない。
小保方さん問題ではっきりと分かれたのは、彼女に対して持つ感覚の男女差です。男性にはウケが良い彼女でしたが、女性からの評判は芳しくありません。ヤワラちゃん以来久しぶりに、「女に嫌われる女」のスター登場という感じがして、彼女もたとえ研究者の道が閉ざされたとしても、参議院議員という道があるのではないかと思ったものです。(中略)明らかにヘアメイクさんが入っていると思われる髪と化粧で記者会見に臨んだ時点で、女性は「うへぇ」となったわけですが、

「病気」について、
まず気づくのは、「色々なところが痛くなってくる」という現象。

わたしも、数年まえからとつぜん肩と背中にいたみがでて、
はしるときにうでをふりにくくなった。
肩こりかとおもってマッサージにかよったりしたけど、
酒井さんのこの指摘をよみ、
これはたんなる老化現象なのだと納得した。

「聖子ちゃんのコンサート」
 後半、いよいよお楽しみの「昔のヒット曲コーナー」が始まり、会場は一気にヒートアップ。全て知っている曲なので、会場の皆が聖子ちゃんと一緒に歌う!もちろん私も歌う!
「みんなも大きな声で一緒に歌ってね!!」
 と優しくリードしてくれる聖子ちゃんを見ていると、「将来、老人ホームで職員さんに促されて皆で歌うのって、こんな感じなのかも」と思います。 
 私が特に興奮するのは、「夏の扉」のイントロ部分。財津和夫作曲のこの曲のイントロは、私のティーン時代を一気に蘇らせるのであって、脳からドーパミンがドクドクと分泌される感じがします。

たまたま最近ラジオをきていたとき、
聖子ちゃんの「ロックンルージュ」
(ただしくは、「Rock'n Rouge」)がながれてきた。
フワフワと、どーでもいい歌詞がたのしい。
これは名曲だ。
家にかえってから、ユーチューブでみてみると、
わるいことなんかなにもしらないし、
かんがえたこともないようにふるまう
聖子ちゃんの笑顔がすごい。
「ぶりっ子」(死語か!)もここまでくると りっぱな芸だと感心した。
わかいころは、女性からきらわれていた聖子ちゃんなのに、
いまでは彼女のコンサートにおとずれる大半は女性だという。
聖子ちゃんのうたは、わかいころの自分をおもいださせ、
中年女性のこころをわしづかみにする。
若い頃の自分にもし出会ったら、
「中年もあなたと同じ人間なのよ。そして中年っていうのも、意外と楽しい時期なのよ」と、伝えてやりたい私。若い私は、
「何言ってんの、このおばさん」
 といった顔をするのでしょうが、そんな若者をも「ま、若者ってこんなものよね」と見守る度量が、今はあるような気がしています。

酒井さんは、どの年齢であっても、
そのときをたのしそうに生きている。
バブルのころはおもいっきりあそび、
30代で「わたしは負け犬」とキャンキャンないてみせ、
その後、年をとるにつれかわっていく、
自分のからだと、状況の変化を分析し報告する。
これからもずっと、たとえ老人になっても、
その年齢における女性の心理を
わたしたちに解説してくれるだろう。
わたしも、いつまでも、酒井さんのエッセイをながめながら、
おもしろがって年をとっていきたい。

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posted by カルピス at 21:51 | Comment(0) | 酒井順子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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