「『浅めたら』どうでしょうね、深めずに」
とかいている。
もともとは、永田農法の永田先生にいわれたことばだという。
永田先生の言う「まちがった農法」は、
根を深く伸ばそうとしているやり方だった。
正しいのは、根を浅く細かくふわっと生えさせること。
細かい根が浅いところに綿のように広がるのがいいのだ。
先生は、とにかく繰りかえし言っていた
「頭のいい連中は、なんでも深く深く掘ろうとする。
それがいちばんだめなんですよ」と。
農業の方法ばかりでなく、なんでもそうだと言っていた。
わたしも、根はふかくはるのがいいとおもいこんでいた。
自然農法をこころみて、田んぼにモミをまき、
はえてきた稲をひっぱると、かるいちからでぬけた。
根があさく、いかにもたよりない根のはりかただった。
でも、よくないのは、ひろがりのないはり方であり、
あささではなかったのだ。
糸井さんは、永田さんのことばに影響をうけ、
その問題、深く深く掘っていくと、
切りもなくわけわからないところに行きそうなので、
「浅めたら」どうでしょうね、深めずに
といえるようになっている。
「浅めたら」なんて、いままできいたことがないことばだ。
常識だとおもっていたことが、じつは逆だった、
というのはよくあるけど、
まさか、ふかくはった根まで、まちがっていたとは。
わたしは、永田農法について、まったくしらなかった。
ウィキペディアをみると、
「必要最小限の水と肥料で作物を育てることが特色」
とある。
有機肥料ではなく、化学肥料をつかうというから、
それだけですでに有機農法ではない。
農業は土づくりが大切、とよくいわれるし、
肥料には堆肥などの有機肥料がすすめられるのに、
永田農法はずいぶんかわっている。
やせた土のほうが おいしい作物にそだつというのだから、
ふつうにいわれているのと逆だ。
わたしは、ふかくさぐっていくのがにが手なくせに、
ただしいのは、ふかめることだとおもっていた。
よこに、よこに「浅めて」いくのがいいのなら、
わたしにできることがなにかありそうだ。
「深く掘ろうとする」のがだめ、なんて、
ことしいちばんのカルチャーショックだった。
タグ:永田農法
スポンサードリンク