もういちどじっくりみかえす。
簡単にあらすじをまとめると(ネタバレあり)、
アル=パチーノ演じる盲目の退役軍人(中佐)が、
おもいのこすことなく死ねるよう、
ゴージャスな数日をニューヨークですごすはなしだ。
エリート高校生のチャーリーがかかえてしまった
やっかいな なやみが平行してえがかれる。
チャーリーは、休暇があけると、
全校生徒のまえでひらかれる懲戒委員会で
仲間のなまえをつげぐちするか、
ハーバードへの推薦をとりけされるかの
むつかしい立場にたたされている。
ラストでは、中佐がこの懲戒委員会にのりだして、
みごとな演説により、チャーリーの窮地をすくう。
先日の記事にかいたとおり、
http://parupisupipi.seesaa.net/article/473941396.html?seesaa_related=category
この作品は名場面がいくつもあり、そのどれもが印象にのこる。
なんといっても、中佐によるラストの演説に迫力があり、
映画をみながらメモしていたら、ぜんぶかくしかなくなって
とちゅうであきらめた。
レストランでおどるタンゴの場面もすばらしく、
どうしてもアル=パチーノの名演に目をむけがちだけど、
チャーリーという、やさしい男子生徒の設定が
この作品の、ひとつのポイントになっている。
チャーリーは、クラスメイトと
あたりさわりのないつきあいをしているものの、
仲間たちとちがい、裕福なそだちではないため、
お金をかけたあそびはできず、すこしひいてしまう。
仲間はずれにされるとか、差別されるとかではないけど、
彼らとおなじようには能天気にふるまえない。
チャーリーは、アメリカ人高校生からイメージするような、
かるくて、女の子とあそぶことばかりの若者ではない。
はっきりしないところがあるけど、あたたかみがあり、
仲間のなまえをつげぐちしたりしない。
こういう人物が、映画の主役にえらばれるのは、
アメリカも、こういうひととなりが
評価される社会なのだろうか。
アメリカ人というと、おしがつよく、
自分の意見をつよく主張するタイプをおもいえがくけど、
チャーリーは、自分ひとりが罪をかぶっても
しかたないとうけいれようとする。
誠実でやさしく、あたたかいチャーリーだからこそ、
気むずかしい中佐を手つだう役割がなんとかつとまる。
彼はしだいに中佐のユーモアやつよい信念をみとめるようになり、
さいごには、友人のような関係をきずく。
チャーリーが、これまでのべたような性格だから、
この作品がなりたっているわけで、
もしチャーリーが仲間のなまえをだしても
なんともおもわないような人間だったら
別の映画になってしまう。
もちろんアル=パチーノの熱演もあるとはいえ、
チャーリーのやさしくて、芯のとおった性格が
この作品を名作にしあげるのに、かかせない設定だった。
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