(エイドリアン=マッキンティ・ハヤカワ文庫)
ダフィ刑事シリーズの3作目。
IRAの活動家、ダーモットの居場所をMI-5がさぐっている。
ダーモットはダフィの同級生だったことから、
ダフィのもとにMI-5のスタッフがたずねてきた。
そのころのダフィは、はめられて警察の仕事をうばわれ、
年金ぐらしにおいやられていた。
MI-5は、ダーモットの捜査をダフィにもちかける。
ひきうけるなら、名誉を回復し、仕事ももとにもどすという。
ダフィがダーモットの元妻、アニーをたずねると、
彼女の妹が不審な死をとげたとしらされる。
彼女の家族は、まだその死をうけいれられず、
とくに母親は、ジニーの死が事故であるとは
どうしてもしんじられない。
もしダフィが事件をしらべなおし、犯人がわかったら、
彼女はダーモットの居場所をおしえるという。
というながれで、直接ダーモットをさがすのではなく、
ジニーの死をあきらかにするためにダフィはうごく。
ジニーの死体は、いわゆる「密室」で発見されており、
ふつうにかんがえると殺人事件ではなく、
事故死であるようにしかみえない。
ダフィはなんども現場をおとずれ、
関係者からもはなしをききだし、
しだいにかくされていた事実をつかむ。
わたしは「密室」ものにたいして関心がなく、
ダフィが必死になって謎をとこうとするのに
いまひとつはいりこめない。
そこらへんはさらっとながしていいから、
もっとうごきのあるストーリーのほうがすきだ。
とうとう謎をあきらかにしたダフィは、
犯人をまえに自分の発見を得意そうに披露する。
アリバイ工作をみやぶったダフィの捜査はみごとだったけど、
密室のトリックをめぐるはなしはしつこすぎた。
「解説」には、ミステリー作家の島田荘司氏が、
ながながと自作とマッキンティ氏の著作との関係をかいている。
それによると、マッキンティ氏が密室をあつかった理由について
アイルランドの新聞にたずねられたとき、
島田荘司氏の著作をよんだ体験にふれているという。
かんじんの本作についての説明はなく、
「解説」というよりも、自作の宣伝としかおもえない。
マッキンティ氏の本は、邦訳された
『コールド・コールド・グラウンド』、
『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』、
そして本書の『アイル・ビー・ゴーン』とも、
タイトルをみても、なんのことだかまるでわからない。
『アイル・ビー・ゴーン』は、
ある歌詞からとったことばなのだけど、
それだけをだされても日本の読者には不親切だ。
適切なタイトルをもとめたい。
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