(マイク=ニコルズ:監督・1988年・アメリカ)
どうみてもテス(メラニー=グリフィス)が主役なのに、
タイトルに名前がでるのはシガニー=ウィーバーがさきだ。
とうぜんトップはハリソン=フォード。
なぜならハリソン=フォードはトップスターだから。
有名なひとはえらい。
名前がさきにのりたかったら、有名になりなさい、と
タイトル画面がものがたっている。
テスも、親友のシンシアも、ボリュームたっぷりのヘアスタイルで、
きている服も、いまとなってはそうとうケバい。
うつくしい摩天楼はアメリカン・ドリームの象徴で、
ビジネス街の主人公となるのをテスは夢みている。
自信満々で、こってりあぶらぎった
80年代のアメリカならではの作品だ。
(以下、ネタバレあり)
投資銀行ではたらくテス(メラニ=グリフィス)は、
キャリアアップのために 夜も学校にかよい勉強をつづけている。
でも、大学をでていないため、
いつまでも秘書の仕事からぬけだせない。
上司である男性職員は、テスの能力をまったく評価せず、
セクハラとからかいをうける日がつづく。
逆ギレしたテスが上司にハジをかかせ、その部署にいられなくなり、
あたらしく、ボストンからやってきた女性重役、
キャサリン(シガニー=ウィーバー)の秘書となる。
キャサリンはテスとおないどしで、
いいアイデアをだせば、偏見なしでテスを評価してくれる。
仕事にやりがいをかんじだしたテスは、
自分であつめた情報から、ある企業の合併事業をおもいつく。
テスがそのアイデアをキャサリンにはなすと、
彼女は「おもしろい」といいながらも、その線はないとしりぞける。
しかしキャサリンは、テスにないしょで、
合併を自分のアイデアとして よこどりしようとするのだった。
キャサリンのたくらみに気づいたテスは、
キャサリンがるすのあいだに、自分で合併をすすめようとする。
キャサリンの婚約者であるジャック(ハリソン=フォード)
をまきこみ、あと一歩のところまでたどりついた。
合併をつめている会議にキャサリンがのりこんできて、
すべてはひっくりかえされる。
松葉杖をふりまわすシガニー=ウィーバーは迫力があった。
またゼロからのやりなおしだ、とおちこむテスだけど、
ラストにどんでんがえしが用意されていた。
合併のアイデアは、テスのはばひろい情報収拾からうまれたもので、
キャサリンはアイデアのでどころを説明できず、
アイデアのよこどりがあきらかになる。
部下のアイデアをぬすむキャサリンは、
ひどい目にあって当然なわけだけど、なんだかにくめない。
するのあいだに恋人をうばわれ、
そのうえさいごはクビにまでされ、かわいそうにおもえてくる。
わるいのは、コロッと彼女をうらぎったハリソン=フォードか。
アメリカ映画で会社をやめるときは、
机まわりのファイルや私物を、ちいさな箱につめて
失意のもとに部屋をたちさる場面がおきまりだ。
日本では、会社をさるとき、小箱ひとつで、
というわけにはいかないだろう。
かんたんに首になってしまうアメリカでは、
あまり会社に私物をもちこまないのかもしれない。
この作品でも、テスが自分の私物を小箱にまとめ、
会社をさろうとしたときに、
通行人にあたって荷物が床にぶちまかれる。
それをひろいあつめるテスに、ジャックがかけよった。
会社をさるときの小箱は、
かならずひっくりかえる、というセオリーどおりだ。
そして、そのときにさいごのチャンスがおとずれる。
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