仕事といっても、事務やなにかの準備ではなく、
ショートステイの利用者とのおとまりだ。
仕事だとおもうとたのしくないので、
キャンプごっこで気をまぎらすことにする。
もちろん職員用のふとんもあるけど、
キャンプだとかんちがいしたいので、
2ミリのうすいアルミマットをひろげ、
そのうえにデコボコのついたサーマレストのマットをしく。
まえにかっていたネコがつめとぎにつかったので、
マットとよぶのがかわいそうなほど 虫くい状態になっている。
野宿するのに、なによりも大切なのは、
寝袋ではなくマット、というのを
野宿伝道師のかとうちあきさんが
なんどもくりかえして強調している。
さむい時期の野宿では、したからのひえがなによりつらい。
いくらあたたかい寝袋にくるまっても、
マットに手をぬくと残念ないちやをすごすはめになる。
たとえ部屋でねるキャンプごっこといえども、
たたみのうえにじきにねたら、
つぎの朝はつかれがたまっているだろう。
かとうさんのおしえを忠実にまもり、マットをつかった。
といいながら、うえにかけるのは
寝袋ではなく、家からもっていった夏がけだ。
いまの時期、さむさよりもあつさのほうが問題で、
土曜日の夜もむしあつかったのでエアコンをつけた。
キャンプといいながら、エアコンをつけるなんて、
まったくどうかしてるけど、
もともと中途半端なこころみなのだ。
ご飯はコンビニでかったものだし、
お風呂だってふつうにはいる。
読書用のスタンドまでもっていったし、
パソコンだってある。
ようするに、マットをしいてねただけのはなしなのに、
気もちをあそび方向にもっていきたいために、
自分でキャンプ気分を演出したかった。
ヒロシさんのひとりキャンプの影響もあっただろう。
利用者さんは、夕ごはんのあとお風呂にはいり、
8時になるとふとんにもぐりこんだ。
そして、そのまま朝の6時すぎまでしずかにすごしてくれる。
そのあとは、わたしが自由につかえる時間だ。
わたしは、いちおう仕事として夜をつきそうので、
ひさしぶりにお酒なしの夜をすごした。
すこしぐらい、とちょっとまよったものの、
自分がアルコール依存症でないことを確認するために、
ひとばんだけでも自分の意思でのまずにのりきる。
さいわいに、お酒がほしいとはすこしもおもわなかった。
本をよみだしたものの、10時すぎにはねむけがやってきた。
家では12時をすぎないとねないのに、
この夜は10時15分にふとんにはいる。
とまりあけの日は、9時に勤務時間がおわる。
家にもどったわたしは、ずいぶんほっとしたのかがわかった。
ひさしぶりのおとまりで気づいたのは、
わたしは自分の家がだいすきという事実だ。
キャンプごっこするよりも、なれた自分の家、
自分の部屋でぬくぬくとすごしたい。
こんな性格の人間は、いくら野宿にむいた季節になったとしても、
外よりは家ですごすのをえらぶにきまっている。
わたしに必要なのは、ひとりキャンプにつきあってくれる仲間だ。
ヒロシさんはもとより、かとうちあきさんだって、
グループで夜をすごすものの、ねるのはひとりだ。
なかまとでかけるひとりキャンプのカテゴリーにはいる。
まえは、ひとりでなければ軟弱だとおもっていたけど、
そんなところで片意地をはらないで、
ひとといっしょにすごしたほうがここちいいときもある。
依存しなければ、自立もできない。
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