2020年12月06日

古谷敏さんがかたる ウルトラマンのかなしみ

朝日新聞に「語る 人生の贈りもの」という連載がある。
ひとりの著名人をとりあげて、おさないころから現在までを
「語」ってもらう企画で、いまは古谷敏さんが、
ウルトラマンシリーズをふりかえっている。
古谷さんの肩書は「スーツアクター」で、ウルトラQにでてくる
ケムール星人のスーツをきたのがことのはじまりだという。
そのあとウルトラマン役をえんじて人気をあつめる。
ウルトラマンの必殺技、スペシウム光線のポーズを、
当時の子どもたちはみんなまねしたものだ。
両腕を交差させればいいというものではなく、
ウルトラマンらしいかまえは、
かんたんそうで、なかなかできない。
まえかがみになり、すこし猫背で、
うでだけでなく、からだ全体のバランスがたいせつとなる。
古谷さんは1日300回くりかえして、
このポーズをからだにおぼえさせたという。

古谷さんのはなしでとくに胸をうつのは、
ジャミラとたたかったときのはなしだ。
(「ジャミラは、もとは人間の宇宙飛行士で、
水のない惑星に不時着し、かわりはてた姿になってしまった。
救助にこなかった人類に復讐するため宇宙からやってきた」
という説明あり)。
 ウルトラマンはジャミラが苦手とする水を手から放射して退治したのですが、あの撮影はつらかった。「彼は宇宙開発の犠牲者。孤独なんだ。どうして殺さないといけないのだ」と思うと、スーツの中で涙があふれてきたのです。(古谷)

シリーズで挙げられた「正義」は絶対ではなかった。ウルトラマンはいつも悩みつつ、闘っていました。しかも地球で闘える時間は3分間。その「弱み」がドラマに深みを持たせました。(聞き手)

かんがえてみたら、怪獣がただおおきいから、
おそろしいかっこうをしているから、
ウルトラマンにやっつけられるのでは、理不尽なはなしだ。
ジャミラは宇宙開発の犠牲者だから、
とくにかわいそう、だったかもしれないけど、
ほかの怪獣にしたって、人間にいじわるしようと
地上にでてきたわけではあるまいに。
子どもたちは、絶対的な正義をふりかざす
単純なヒーローとしてではなく、
なやみつつたたかうウルトラマンにこそ
ふかい共感をよせたのだろう。
 そんなウルトラマンも宇宙恐竜ゼットンに倒されます。結局ゾフィーとともに光の国に帰っていったのですが、放送が終わった後、多くの子どもたちが泣きながら窓を開けて夜空を見上げたそうです。「ウルトラマンをやってよかった」と心から思いました。(古谷)

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posted by カルピス at 21:45 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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