ベートーベンの生誕250年にあわせ、
ことしはこれまでになんどもベートーベン特集をくんできた。
最終回となる第14回は、交響曲第6番「田園」のききまくり、
という、なかなか体験できない形での特集だった。
おなじ曲が、指揮者によりどれだけちがう演奏となるか。
冒頭部分の一部を7つ、5楽章の一部を5つ、
まったくべつの演奏を、収録がふるい順にきかせてくれた。
わたしの耳でも、ゆったりした演奏と、
ものすごくゆったりした演奏とのちがいがわかる。
番組の最後には、セルジュ=チェリビダッケ指揮による、
いちばんゆっくりな演奏で、全曲がながされた。
「ききまくり」で演奏されたなかには、
1944年のベルリンで収録されたものもふくまれている。
敗戦のいちねんまえ、ベルリンは混乱をきわめていただろうに、
いまでも音源がのこる演奏が収録されていたのにおどろく。
日本でおなじことがなされるとは、かんがえにくい。
ヨーロッパで、クラシック音楽がどれだけふかく
くらしに根づいているかのあらわれではないだろうか。
5年まえにネット上でやりとりされた「村上さんのところ」では、
音楽についての質問もおおかった。
ブラームスのピアノ協奏曲第一番について、
おすすめのCDを読者からたずねられたところ、
ちょっとレコード棚を調べてみたんですが、うちには「ブラいち」(と呼んでいます)だけで14枚もありました(うちCDが3枚)。
と村上さんはこたえている。
そのあと「私見ですが」と、
ものすごくくわしいブラいち とブラに のはなしがつづく。
曲はいっしょでも、演奏によるちがいがききわけられるひとには、
それぞれの味をたのしめるのだろう。
ベートーベンの交響曲でわたしがすきなのは第7番で、
いろいろききくらべた結果ではもちろんなく、
「のだめ」でよくきいたから、という
にわかファンらしい かるい理由でしかない。
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