「オトナになった女子たちへ」(朝日新聞)。
今回は、仕事とはなにか、について。
伊藤家は家のそうじを「ダスキンさん」にまかせていて、
それなのに、ダスキンさんがくる日の朝、
伊藤さんとヨシダサン(伊藤さんの夫)が
ざっとヌメリをとったり、物をどかしたり、ふいたり、ほこりをはらったり、する。
ここまでは、よくきくはなしだ。
でも、伊藤さんは最近になって、こうかんがえるようになった。
つまり、もしかしたらよごれている家は、
プロのそうじ人にとって宝箱かもしれない、と。
「この家、つまんねーな」
と、思われていないか。
「もっとヌメッてろよ」
「ガッカリだな」
みたいな。
「このレベルで定期便頼んでんじゃねーよ、チッ」
とか。
「面白くない」
と、思われることは、職業上の理由で我慢できない。
「職業上の理由で我慢できない」がおかしい。
よごれている部屋をみられるより、
おもしろくないとおもわれることのほうが、
伊藤さんは我慢できない。
職業上の理由、と、めずらしく、
かたぐるしい言葉をつかって プライドをのぞかせる。
わたしたちは、間違った親切心と、つまらないみえで、ダスキンさんのやる気と仕事を奪ってはいないだろうか。つまり、わたしたちは「やらない」という仕事をさぼっていないだろうか。プロに対してプロの仕事ができているだろうか。もっとヌルヌルしていたほうがいいのではないか。仕事とは、なにか。もっとヌメる自信はある。悩んでいる。
けっきょくさいごの段落を、ぜんぶ引用してしまった。
伊藤さんのまじめさと ふまじめさのかねあいが だいすきだ。
たたみかけるように、リズムをきかせた文章がうまい。
「やらない」という仕事をさぼらないよう 気をつけたい。
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