映画音楽ワールドツアーをきいていたら、
紺野美沙子さんが『プロヴァンスの贈りもの』を紹介していた。
南フランスでワイナリーをいとなむ男性がなくなり、
アメリカにすむ青年が遺産をひきつぐことになった。
ビジネス界でバリバリにはたらいていた青年が、
ワイナリーをおとずれると、おさないころ、
ここですごした記憶がよみがえってくる。
南フランスでのおちついたくらしが気にいり、
そのうち、レストランでであった女性にひかれる。
ラジオをきいていて、はずかしくなるくらいベタなはなしだ。
外国人だから、こんなストーリーでもゆるされるけど、
日本人がもしこれほどゆるい小説をかいたら、
おまえはハーレクインかと、ボロクソにいわれそうだ。
監督がリドリー=スコット、主演がラッセル=クロウなので、
それなりの作品にしあがっているのだろうけど、
いかにもよくありそうなはなしで、
お手がるなあらすじをおもいついた瞬間、
いっちょあがり、とさけんだ監督の声がきこえてきそうだ。
うつくしい自然があり、いい俳優がいて、
舞台がワイナリーとくれば、ヒットする条件がそろっている。
なにかをかたらせるのに、ワインくらいぴったりの酒はない。
これがウイスキーやビールだと恋愛ものにならないし、
ジンやウォッカでは、特殊な恋愛でないとおさまりそうにない。
わたしがすむ地方にも、いくつかワイナリーがあり、
にたようなストーリーはつくれそうだけど、
南フランスという土地がもつ独特のイメージと、
フランス産のワインという老舗があいてでは、
はじめから勝負にならない。
日本でワインをとりあげると、
日本におけるワインづくりのむつかしさなど、
どうしてもよけいなものがくっついてしまう。
シンプルにきめるには、やはり土地のもの、
たとえば日本酒やミソづくりにおちつくのではないか。
『プロヴァンスの贈りもの』にかぎらず、
紺野さんが紹介する映画のストーリーをきいていると、
恋愛もの、学園もの、どれもおもしろそうだけど、
あらすじ じたいは これでもかというぐらい、ベタなものがおおい。
はじめの段階では、シンプルなストーリーでじゅうぶんなのだろう。
つくりあげる過程でいろいろくわえ、作品にふかみをもたせればいい。
ベタでいいんだ、奇をてらう必要はないんだ、というのが
『プロヴァンスの贈りもの』でえた教訓だ。
作品をまだみてないので、ぜんぶ推測にすぎないけど。
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