2021年07月16日

車はT型フォードだけでじゅうぶんとかんがえていたヘンリー=フォード

『本の雑誌』に連載ちゅうの「モーター文学のススメ」(速水健朗)
をよんでいたら、T型フォードのはなしがのっていた。
1927年は、(中略)フォードのT型の製造が終了した年でもある。1908年の製造開始から、おおきな変更のないままこのクルマは、20年近く売られ続けた。そして、フォードは次のモデルを発売しなかった。(中略)
 次の製品がないままT型フォードの製造を止めたのもヘンリーの意思だった。スタイル重視の新型の開発の邪魔をしたのだ。彼は、クルマはT型だけで十分と考えていたのだ。スタイルやカラーリング、ネーミングを変え、次々新しい商品が生まれてくる世界を彼は嫌ったようだ。大衆消費社会の生みの親とも思われているヘンリー・フォードがそれを一番嫌っていたのである。
 皮肉にも見えるが、T型フォードが約20年姿を変えなかったことは、その後クルマの発展にむしろ勢いを与えた。縮んだパネがぴょんと跳ねるかのように、1920年代後半から1930年代にかけて、自動車の性能やスタイルは大きく変化した。世は世界恐慌の不況期だったが、自動車は着実に普及し、1930年代にアメリカの自動車普及率は50パーセントを超える。

いまなら、20年のあいだ、モデルチェンジをしない車なんて
すくなくとも西側の国ではかんがえられない。
フォルクスワーゲン=ビートルやシトロエン2CVは、
ながくつくりつづけられたけど、すこしずつスタイルをかえている。
日本では、名前はいっしょでも、5年くらいで、
モデルチェンジされるのがふつうだ。
わたしが初期型のフィットにこだわり、べつの車にかえなかったのは、
創成期ならではのあかぬけないフィットのデザインがすきだからだ。
モデルチェンジした車のほうが、改善されて、
つかいやすく、性能もあがっているかもしれないけど、
初期型には、その車の魅力 すべてがこめられている。

2007年にリニューアルして発売された
フィアット500を、町でよくみかける。
50年以上まえにつくられたフィアット500を、
基本的なデザインはほとんどかえずに復活させたもので、
名前もフィアット500をひきついでいる。
旧テレビシリーズのルパン三世で、
ルパンがのっていたのがこのフィアット500だ。
『カリオストロの城』ではターボエンジンをつんで活躍していた。
ウィキペディアをみると、はじめにつくられたフィアット500と、
2007年に発売された新フィアット500とは
べつのデザイナーによる作品らしい。
完成度のたかいのは、もちろん初期型のほうだ。
このフィアット500は、ちいさな車体に
完璧なデザインがほどこされており、みていてあきない。

ヘンリー=フォードがT型フォードのデザインを
20年もかえなかったというのは、
初期型にその車の魅力がすべてつまっていることを、
よくしっていたからだろう。
ヘンリー=フォードがさってからのち、
車が発展しだした、というのも、いいはなしだ。
「クルマはT型だけで十分」という
ヘンリー=フォードに一票をとうじたい。

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posted by カルピス at 21:27 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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