2021年07月19日

『10代のための読書地図』に期待する

朝日新聞の書評欄が、『10代のための読書地図』
(本の雑誌社)をとりあげていた。
10代のためのブックガイドだという。
べつに地図なんてなくても、本はよめるとおもうし、
かえって地図がないほうが いいような気もする。
とはいえ、ジャズやロックにうといわたしは、
興味はあっても、どんな歌手の、
どんなレコードをきけばいいのかわからない。
ガイドしてくれる本やラジオがあればたすかるし、
じっさいにそういう番組をきくとたのしいので、
本においても、ブックガイドが必要なのもわかる。

10代の読書というと、いかに生きるべきかをかんがえるもの、
みたいにイメージしがちだけど、生きかただけでなく、
わかいころならではの本はほかにもあるわけだから、
『10代のための読書地図』のような
ブックガイドが参考になるかもしれない。
『ライ麦畑でつかまえて』などは、
できれば10代のころによんだほうがいいような気がするし、
植村直己さんなどの冒険ものも、
中年になってからよりは、わかいころのほうがこころにしみそうだ。

10代のころのわたしは、おさえておいたほうがいいといわれる
名著や古典などにまったく興味がなかったので、
自分にとっておもしろそうな本をテキトーによんでいた。
すきだった作家は吉行淳之介・山口瞳・筒井康隆・五木寛之などで、
古本屋をのぞくようになったのは、大学生になってからだ。
本多勝一さんの本にであい、本多さんの本にでてきたひとの本を
よんでいったのは、大学4年生のころだから、もう20代になっていた。
本多さんによって社会問題に関心がむくようになり、
そこからわたしの読書がつぎの段階にはいる。

本多さんの本にでてきたひとをおいかけていくと、
いもづる式によみたい本がひろがっていく。
ぜんぜんべつの方向から本をよみすすめていったら、
偶然なのか必然なのか、おなじ著者にでくわすことがあり、
エキサイティングな読書体験を味わえた。
たとえば、宮崎駿さんがすすめていた『ゲド戦記』をよんでいると、
べつの機会に河合隼雄さんが『ゲド戦記』についてふれた本にであう。
その河合隼雄さんと、本多勝一さんが対談したりしていて、
世間はせまいというか、わたしが関心をよせる領域は、
すごく親密な世界をきずいているような気がしたものだ。

ブックガイドにそった読書では、
こうしたであいはすくないかもしれない。
でも、わたしにおけるジャズのガイドのように、
なにをよんでいいかわからないひとむけにとって、
とくに10代のわかものにむけてかかれたブックガイドは
あたらしい体験を味わせてくれるにちがいない。
わかものたちが、すばらしい本にであえる夏となりますように。

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posted by カルピス at 21:31 | Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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