これまで事務所や生活介護につかってきた
ごくふつうの民家をこわすことになった。
更地にして、そこに2階建のグループホームをたてる。
ふるい家をぶちこわすなんてかんたんそうだけど、
ふるいだけにアスベストをつかっているかもしれないので、
しんちょうに解体作業をすすめる必要があるそうだ。
すこしずつ、丁寧にこわしていく過程であらわれた家は、
どこかでみたような気がする。『ハウルの動く城』だった。
わたしたちの家は、トイレがさいごにのこされた。
まえからあったトイレだけではつかいにくいので、
車イスでもうごけるような、ひろいトイレを
あとからたてまししており、
そのトイレの部分だけがそっくりのこった。
「ハウル」でいえば、城のようにおおきな家だった「ハウル」が
しきりなおしのあと、必要最小限の機能だけとなり、
カルシファーとマルクル、それにカカシだけ
(もちろんソフィーも)をのせて旅にでる。
トイレだけになったわたしたちの家は、
まさにこのときの「ハウル」だった。
たいらにならされた土地に、トイレだけがぽつねんとのこっている。
なかなかシュールなながめだったけど、
重機がじきにこわしてダンプにつみこんだ。
2階だてで、テラスもあり、庭には数本の木がはえ、
車を7台とめられた わりとひろい敷地は、
あとにひとやまのガレキだけをのこし、更地となった。
更地になった土地は、このあと3ヶ月ほどねかせるそうだ。
そのあとグループホームの建築にとりかかり、
グループホームがうごきだすのは来年度となる。
予定では、ことしの9月からはじめられるとおもっていたのに、
なんだかんだと、計画は順調におくれてしまった。
とはいえ、もし9月からグループホームがうごきだしたとしたら、
とても準備がまにあわなかっただろう。
家はたっても、そこではたらくスタッフがぜんぜんたりない。
いまいる職員でやりくりするのが無理なのはあきらかだ。
とまるひと、利用者をサポートするひと、支援計画をたてるひと。
あたらしいひとをまきこんで、たくさんのひとがかかわらないと、
グループホームでの生活がスムーズにながれない。
半年後にひらかれるはずの、あたらしいグループホームは、
この土地で、どんな生活をスタートさせるだろうか。
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