(高橋歩・A-Works)
家族4人で世界一周したはなし。
旅行記ずれしてきたわたしは、
このたぐいの本に あまり手をださなくなった。
おもいがこめられすぎて、あまりおもしろくないから。
あるいは、自分がやっていることを
「すごいでしょー」とはしゃいでしまっているから。
著者が、自分の旅におもいいれするのは当然としても、
からまわりして、ごくふつうの旅行記になりがちだ。
でも、この本はおもしろかった。
よみやすいしあがりと、自分のかんがえを、
作者がありのままにさらっとかいているからだろう。
背のびせず、そのときの気分がくっきりと記録されている。
ちからのぬけかげんが絶妙で、たのしさがつたわってくる。
この手の本は、とかく たずねたところを順番にすべてかき、
なかなかよむ気がおこらないほど
めちゃくちゃこまかい記録になりがちだ。
高橋さんのこの本はかなりぶあつく、
なかなかひらいてみる気になれなかった。
でも、いったんよみはじめると はやかった。
左のページは写真、右のページは文章というレイアウトなので、
319ページを、ほんの2時間でよみおえている。
あっというまに世界旅行をした気になれた。
右のページの文章は、芸能人のブログみたいに
行間がひろく、文字数はあまりない。
だからといって、内容がうすいというわけではなく、
著者がつたえたいことと、本のレイアウトがぴったりあっており、
ぶあつくても すらすらとよみすすめられる。
「もし、なんでも夢が叶うとしたら、何をしたい?」
と高橋さんが妻のさやかさんにたずねたのが
旅のきっかけだった。
かるい話題のつもりだったのに、
はなしはすぐ実現にむけてうごきはじめ、
資金の準備やら自宅の整理やらをすすめる。
本をよみおえてしったのだけど、
高橋さんは、夫婦の旅行として 世界一周をすでに体験している。
こんどは子ども2人をつれてなので、状況がかわるとはいえ、
旅行のノウハウをじゅうぶんしりつくしている2人だ。
北米大陸とオーストラリアではキャンピングカーをレンタルし、
アジアでは安宿にとまってお金を節約する。
子どもがいるので、アフリカ大陸は、ケニアでのツアーと、
南アフリカだけにしぼる。
一生にいちどの旅行、という気おいはなく、
いまできることを、できるだけたのしもうという姿勢が
家族全員に共有されている。
4人はぶじ日本にもどってきたけど、
これからもずっと日本にいるとはかぎらない。
根っからの自由人として、高橋さん一家はくらしていくだろう。
こういう仕事がしたい=「職種」で仕事を選ぶんじゃなくて、
こういう生活ができる仕事=「ライフスタイル」重視で仕事を選ぶ。創る。
大好きな人たちと、笑いあって過ごすこと。
俺が求めているのは、結局、それだけかもしれない。
世界の平和を願うなら、
まずは、目の前のひとを大切にすることから。
いいことがあったから、元気なんじゃない。
元気にやってるから、いいことが起こるのさ。
若い頃は、お金をいっぱい稼いでリッチな暮らしをしたい、って頑張っていたけど、あるとき、なんか違うな、って気付いたの。
やっぱり、好きなもの、好きなひとに囲まれて過ごしたい、って想って。
著者のスケールのおおきさにふれると、
自分のちいささがいやになってくる。
日ごろ気になっているささいなことは、
ぜんぶどうでもよくおもえてきた。
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