30年ちかくまえに、一條裕子さんの『自転車キャンピング』をよみ、
自転車での旅行をこころざしたわたしなので、
ロードレースやヒルクライムとはべつの興味をかきたてられた。
番組では、カメラマンの渡部さんと、おわらい芸人のはなさんが
100キロのコースを、キャンプ場で1泊しながらはしる。
まず、自転車でのキャンプになれているガイドから、
装備や荷物のつみ方をおそわり、それぞれ軽量化をめざしながら
自転車にバックをつみこんでいく。
渡部さんのテントは、いわゆるツェルトで、250グラムしかない。
居住性はわるそうだけど、渡部さんは
「ぼくの家だ」といって満足そうだ。
軽量化するといっても、ふたりの自転車は、
かなりの量の荷物をのせている。
いぜんのわたしだったら、「キャンプごっこ」のほうに意識がむかい、
キャンプらしい装備にこだわっただろうけど、
歳をとったせいか、いまはできるだけかるい荷物ではしりたい。
いくらかるくても、テントなんかもっていかないで、
雨と風をしのげて 野宿できる場所をさがす
(そこらへんは、「野宿野郎」の編集長、
かとうちあきさんの影響がおおきい)。
食事をつくるのにマキでかまどをつくるのはめんどくさいので、
ガソリンストーブのほうがいい。
汗をかいてはしったあとは、
まずお風呂にはいってさっぱりしたいところだ。
渡部さんとはなさんの自転車キャンピングは、
いまのわたしなら、まずやらないようなスタイルだけど、
おふたりともすごくたのしそうだった。
渡部さんは、いちにち外にいたことをよろこんでいる。
はなさんも、アシストつき自転車とはいえ、
きゅうな坂道をのぼりきった自分に感動していた。
自転車でのキャンプを、なにもしらないふたりだから、
よけいにたのしい体験となったのだろう。
ソフィスティケートされたわたしには、味わえないよろこびであり、
おふたりの率直なよろこび方がいいかんじだった。
あそんだ、という充実感が大切なのだろう。
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